読者様より質問をいただいたので記事で回答のコーナーです。
かなりマニアックな話で、私も初めて知ったネタです。
あと、VTとオルカンどちらが良い?みたいな話もすこし。
もし良かったらお付き合いください。
【こんなルールあったの?】米国遺産税について教えてください
まずは読者様からのメッセージ。
題名: 米国遺産税について
メッセージ本文:
こんにちは。
初めてメッセージします。いつも記事を拝見しており、大変参考にさせていただいています。
私は一般口座でVTを長く(13年ほど)保有しているのですが、
最近になって 米国の遺産税の課税対象になること、
そして 相続時に米国側で煩雑な税務申告が必要になる可能性があること を知りました。
米国非居住者(日本の投資家など)は、
わずか6万ドル(約900万円)を超えると遺産税の対象になる と聞き、
税金を払ってでもオルカンなどの日本籍ファンドに乗り換えるべきか悩んでいます。
ななしさんは、米国遺産税についてどのようにお考えでしょうか。
お時間のあるときにでも、ご意見を伺えれば幸いです。
いつも記事をご愛顧いただきありがとうございます。
毎度のことながら管理人の国語力は…ということですが、今回のメインは税金を払っても日本籍のファンドに乗り換えるかどうか。(で良いですよね。。)
自分ならこうする、という形でお答えしていきます。
管理人ならVTを売ってオルカンに乗り換える
まずは結論から。
管理人なら面倒な税務申告があるストレスも含め、VTを売ってオルカンに乗せ換えます。
理由は2つあって、
- 配当再投資の手間
- VTの配当三重課税問題
があります。
遺産ということを考えると長期保有だと思うんですよね。
1つ目は受け継いだ側は遺産なので配当をお小遣いとして使うなら問題はないでしょう。資産形成期ですと売れば良いですし。(ただ、一般口座という足かせは残りますね。)
2つ目がけっこう問題で、VTは三重課税がされてます。
13年前はVT以上のスペックの商品は無く、これ一本で全世界に分散投資できる神ETFでした。
しかし今は違いますね。オルカンを買えば超低コストで配当もファンド内で再投資してくれます。
久しぶりに三重課税の説明など。
海外ETFで全世界株式(VT)を直接保有した場合、アメリカ以外の先進国で得た配当金に現地課税、アメリカで10%、最後に日本で20.315%と課税されます。これが三重課税と呼ばれるものです。
| 米国 | 米国以外 | 日本国内 | |
| 海外ETF(VT) | 10% | 現地分を自動徴収後、米国の10%も課税 | 20.315% |
| 現物運用(オルカン) | 10% | 各国分のみ | 20.315% |
例えばネスレ(スイス籍)の配当はどう処理されるでしょうか。
VTの場合、スイスの配当課税35%(!)が引かれ、米国課税10%が引かれます。さらに私たちの懐に入る時に日本の配当課税として20.315%が引かれます。。
オルカンだとスイスの現地課税と日本での配当課税だけですね。
英国株は現地の配当課税がないため、BPなどでは現地課税は0%です。(VTは0%のあと米国10%がかかる、はず。)
大した差じゃないと思えば良いですが、配当が欲しいなら2559(オルカンETF)だと二重課税調整されてるし、配当がいらなかったらオルカンで良いよな、となっています。
管理人もVTを利確してオルカンにしようかな、と思いつつ、古い一般口座で買っているので、確定申告が面倒だな、という理由で放置しています。(うちの家族・親族がアメリカ在住だと即売りですね。)
そういえば、自分は何年保有してるのかと調べてみました。

奇しくも同じ13年ですね!
2013年に200万円くらい突っ込んで現在660万円。
配当も入れるともう少し上振れ。
当時はまだ一般口座でしか海外ETFが買えない時代でしたね。
さて、米国遺産税について調べた情報も。
米国遺産税について
お恥ずかしながら、米国の相続税は超富裕層だけの話と思っていたんですが、日本在住者が米国ETFや米国株を保有している場合は少し事情が異なります。
日本在住の個人投資家でも、米国ETFや米国株をある程度保有していると、米国遺産税の問題に直面する可能性があるようです。
日本の相続税は「相続人」に課税されますが、アメリカでは「亡くなった人(遺産)」に対して課税する仕組みになっていることが理由。
アメリカ市民や米国居住者の場合、非課税枠は1500万ドル超(十数億円以上)と非常に大きいため、一般的な家庭ではほぼ問題になりません。
しかし日本在住者は別ルール
日本在住者は米国から見ると「非居住外国人(NRA)」になります。
この場合、
米国所在資産(US-situs assets)の総額が6万ドル超
になり、米国遺産税の申告対象になる可能性があります。
6万ドルは現在の為替なら約900~1000万円前後。
つまり、
- VT
- VOO
- 個別米国株
などを長期保有して6万ドルを超える可能性はありますね。
ただ、莫大な税金がかかるかというと、それも違います。
日米相続税条約による救済措置がある
非居住外国人(NRA)だから税金が高いかというと、そんな心配もなく、日米相続税条約による救済措置があります。
日本居住者には一定の按分計算によって、アメリカ人と同様の大きな基礎控除を利用できるケースがあるようです。(全然知らない領域なので調べた範囲で断言できなくてスミマセン。)
そのため、日米相続税条約による救済措置を考慮すると、実際に米国遺産税が発生するケースは限定的と考えられます。
問題は「税額」より「手続き」
個人的には、最大の問題は税金そのものよりも相続時の煩雑さだと思いました。
米国側では
- Form706-NA
- 英文資料
- 米国税務専門家
- 日米両国の制度調整
などが必要になるようです。
よほどの準備をしていないと、相続人が「???」となる可能性は十分あります。というか、初見ではかなり難しく、専門家の力が必要になりそう。。
以上を踏まえて、もう一度オルカンに乗り換えが妥当か考えていきます。
オルカンに乗り換えるのは妥当?
世界株に投資するという意味では、VTとオルカンの中身は非常によく似ています。
しかし、
- 米国遺産税
- 相続時の手続き
- 配当にかかる税金
まで考えると、両者には意外と違いがあります。
VTとオルカンの比較
| 項目 | VT(米国ETF) | オルカン(日本籍投信) |
|---|---|---|
| 世界株への分散投資 | ○ | ○ |
| 経費率・信託報酬 | 0.06% | 0.0575% |
| 分配金 | 年4回受け取り | 自動再投資 |
| 配当課税 | 国によっては三重課税 | 基本的に二重課税 |
| 米国遺産税 | 対象となる可能性あり | 対象外 |
| 相続手続き | 米国側の手続きが必要 | 日本国内だけで完結 |
| 管理のしやすさ | やや複雑 | シンプル |
もちろん、VTを持ち続けることが間違いというわけではありません。VTは長年にわたり全世界株投資を支えてきた素晴らしいETFです。
ただ、現在はオルカンのような低コストな日本籍投信が登場したことで、
将来の相続や管理のしやすさまで含めて考えると、オルカンを選ぶ合理性は以前より高くなった
と感じています。
期待リターンは大して変わらないのに、相続の手続きや管理のシンプルさ、配当の再投資(そして三重課税)を考えると、利確して税金払ってオルカンに変えておいても良いのでは?と米国遺産税を調べて改めて思いました。
米国遺産税ということで、家族、親族への相続もあるでしょうし、自分が生きてるときのリターンの最大化だけでなく、
自分がいなくなった後、
家族が困らない仕組みを作っておくこと
も大切な資産形成の一部ではないでしょうか。
初めて知る制度を調べる機会や、ご質問などありがとうございました。
また、何か気になることがありましたら、お気軽に連絡してくださいね。私も知らないことなどは調べながらですが、勉強をしていきますので。
というワケで今日は【こんなルールあったの?】米国遺産税について教えてくださいというお話でした。
資産形成は積立設定したら終わりじゃなくて、最終的に使ってこそ、という話でもありますね。
管理人も老後に使って、妻にスムーズに相続できることまで見据えて頑張っていこうとも思いました。
いろいろ悩ましいですが、ともに頑張っていきましょう。
お読み頂きありがとうございました。
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