高配当ETFといえば、バンガードのVYM、ブラックロックのHDVが有名ですが、ステートストリートからもSPYDという商品がでています。
2社のETFとは、方針もガラリと変わっていて非常に面白い高配当ETFです。
記事内容はSPYDを紹介したもの。
基本情報と共に、競合商品との比較や、分配再投資をした場合のリターンを紹介しております。
ポートフォリオの一部にインカムを重視したい方の参考になれば幸いです。
SPYDの基本情報やチャート
SPYDはステートストリートが運用する高配当株ETFです。
ステートストリートは世界で初めてのETF、SPY(S&P500)が有名ですね。
構成はS&P500から選ばれた高配当銘柄の上位80社で、イコールウェイト(均等加重)という面白みがあります。
SPYD基本情報
ティッカーコード | SPYD |
運用会社 | ステートストリート |
ベンチマーク (連動指数) |
S&P500高配当指数 |
保有銘柄数 | 80 S&P500の高配当銘柄から上位80社 |
投資スタイル | イコールウェイト(均等加重) |
リバランス | 年2回 |
配当スケジュール | 3月、6月、9月、12月 |
経費率 | 年0.07% 高配当ETFとしては超低コスト |
直近配当利回り | 5.13% |
設定日 | 2015年10月22日 歴史が浅いのが残念。でも将来有望 |
上場市場 | NYSE Arca |
注目したいのが均等加重という事。
高配当銘柄というと、どうしても古くから続く企業への時価総額加重が大きくなってしまいます。
例えばタバコ株であるフィリップモリス(PM)やアルトリアグループ(MO)、エネルギーだとエクソンモービル(XOM)など。
状況によっては金融株も比重が大きくなります。
一方でSPYDの場合は、、
- 1銘柄あたり1.25%(100÷80銘柄=1.25)を基本とします
- 当然、株価は動くのでズレが出ますが、年2回のリバランスで修正
こうすることで、特定の1社が大きく下げても全体としてのダメージを軽減できます。
代わりに勢いにのって、大きく値上がりを取るというのは受けられません。
2015年からS&P500がGAFAといったモンスター企業の成長をうけ一気に値を上げたような事が期待できないのです。
しかし、安定して高配当銘柄からのインカムを考えている管理人は好きな方式なので、購入を考えています。
設定来と直近のチャート
画像元はYahoo!financeです。
2018年終わりの急落から回復したものの、米中貿易戦争などで揺れ動いています。
しばらくは、この状況が続いたり、急落があるような気がしますね。
意外と1株単価も安いので、海外ETFが初めての方が買ってみるというのもしやすいかも。
2019年9月1日終値は36.05ドルと、日本円換算すると4,000円を切っています。
個別株と違って倒産リスクは無視できます。
見方を変えて設定来のチャートです。
設定日が2015年10月22日なので、ちょっと日が浅いですね。
2016年、2017年の株高をうけ、約3年で20%くらい成長をしているので、あとは下落体制がどのくらいあるかが問題です。
連動指数はS&P500高配当指数
S&P500の採用銘柄のうち、高利回りの上位80銘柄へ連動を目標とします。
加重平均であり、1銘柄当たり1.25%となるのが特徴です。
現在、この指数に対応した投資信託はありません。
米国株式配当貴族インデックスより、信託報酬を安くしたSPYD投信を作って欲しいですね。
関連記事SMT米国株配当貴族インデックスの実質コストは年率0.68%と優秀(信託報酬は0.59%)
SPYDの経費率は年0.07%
経費率は驚異的な0.07%です。
ETFは購入時に手数料を払うため、かかるコストはガラス張りです。
投資信託のように隠れコストなどを心配する必要が無いのもメリット。
ライバルである、VYMが0.06%、HDVが0.08%ですので、ステートストリートの本気具合がうかがえます。
SPYDの保有上位10銘柄
銘柄 | 保有比率(%) |
ニューウェル・ブランズ(NWL) | 1.54% |
クラウン・キャッスル・インターナショナル(CCI) | 1.50% |
キャンベルスープ(CPB) | 1.48% |
HCP(HCP) | 1.45% |
ペンタス(VTR) | 1.44% |
エンタジー(ETR) | 1.44% |
ケロッグ(K) | 1.44% |
ウェルタワー(WELL) | 1.44% |
リアルティ・インカム(O) | 1.42% |
デューク・エナジー(DUK) | 1.42% |
合計 | 14.57% |
上位10銘柄ですが、半年ごとのリバランスがあるので特に心配する必要はありません。
ここらへんは均等加重のメリットです。
しかし知ってる銘柄が全然ありませんね。。
キャンベルスープ(CPB)とケロッグ(K)くらいです。
ケロッグは朝食で有名な、あのケロッグです。
SPYDのセクター
業種 | 保有比率(%) |
不動産 | 24.5 |
公益 | 21.70 |
一般消費財 | 10.9 |
生活必需品 | 9.00 |
エネルギー | 8.2 |
情報技術 | 5.8 |
コミュニケーション | 5.3 |
ヘルスケア | 4.1 |
資本財 | 2.3 |
素材 | 2.2 |
SPYDはS&P500の中から高配当銘柄を選出したものです。
あまり知られていないかも知れませんが、S&P500の中には不動産銘柄であるREITも含まれています。
そしてREITは利回りのほとんどを配当で出すので当然高配当。
という事で、セクター比率では不動産がトップという事で、けっこうな偏りがあります。
不動産と公益で半数近くを占める形になっていますね。
あと見えていないけど、高配当維持するには金融系もそこそこあるような。
3社の高配当ETFでここまで違いが出るのも面白いですね。
また、均等加重で1銘柄当たりの下落リスクは安心感がありますが、不動産・金融というのは超景気敏感株です。
リーマンショックの時は地獄の様相をみせていたので、高配当=低リスクではないことは注意が必要かな、と。
SPYDの配当利回りと伸び率
配当日 | 1株当たりの金額(ドル) |
2015/12/7 | 0.331 |
2016/3/21 | 0.277 |
2016/6/17 | 0.326 |
2016/9/16 | 0.326 |
2016/12/16 | 0.585 |
2017/3/11 | 0.318 |
2017/6/16 | 0.343 |
2017/9/15 | 0.363 |
2017/12/15 | 0.712 |
2018/3/16 | 0.349 |
2018/6/15 | 0.376 |
2018/9/21 | 0.451 |
2018/12/21 | 0.443 |
2019/3/15 | 0.339 |
2019/6/21 | 0.462 |
分配金(配当)は緩やかですが、順調な右肩上がりを見せています。
現在価格で保有した場合、20年後には投資元本に対して超高利回りのキャッシュマシーンとなる事を期待してしまいますね。
こういったポケットにお金を入れてくれる資産を、コツコツと増やしていきたいと思っています。
現在は、VYMとBNDを増やしていますが、不況時にRIET部分の影響で大きく下がったらSPYDも積極的に買っていきたいです。
関連記事BNDは米国債券市場へまるっと投資する海外ETF【安定した利回りが魅力】
SPYDとVYM、HDVの比較や個人的評価
競合となる他社ETFは以下の2銘柄です。
- バンガード:VYM
- ブラックロック:HDV
VYMは銘柄数400と分散に優れておりセクターごとの偏りは少ないです。
HDVは銘柄数75と絞り込んでいるのが特徴で、ヘルスケア、エネルギー、生活必需品セクターで60%以上を占めます。
商品詳細は記事を読んで頂けると嬉しいです。
関連記事VYMは信託報酬0.06%で米国高配当株式へ投資が出来る海外ETF
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高配当ETF勝負|SPYD、HDV、VYM
青色:SPYD
水色:VYM
紫色:HDV
セクター比率が三者三様なので、状況次第で強い弱いがでてきますね。
SPYDの見方としては、不動産セクターが大きいので景気には敏感です。
上がる時は一気に上げて、下がる時も速い。
SPYD設定来チャートで一番結果の良かったVYM(28.6%)と、悪かったSPYD(19.65%)の配当込み比較です。
チャートはETFreplayです。
緑色:SPYD
水色:VYM
2019年8月の急落が大きかったのか、現時点では6%ほどVYMに負けています。
とはいえ、他の期間を見てみると、やはり配当込みチャートの場合は大きく変わらないイメージですね。
SPYDの将来見込み(モンテカルロシミュレーション)
上記の予測は将来を表すものでは無いのでご注意を。
設定来の期間が短いため、あくまでも参考といったイメージです。
景気敏感株の不動産セクターを多く含んでいるので、不況で大きく凹んだ場合は30年保有してもリターンがマイナスの可能性が出ています。
実際には長期再投資をした場合、所感ですが、、、
- SPYDを15年バイアンドホールドして1.5~2倍
- SPYDを30年バイアンドホールドして2~3倍
くらいが理想的なリターンと思います。
その間、S&P500指数の中から選ばれた高配当銘柄から、定期的に配当が受け取れます。
ちょっとS&P500ETFである、VOOとの比較チャートも見てみましょうか。
VOOとSPYDの比較チャート
緑色:SPYD
水色:VOO
直近3年データ、配当込みの結果です。
AppleやAmazon、GoogleといったIT界の巨人がS&P500を引き上げていたので、大きく離されていますね。
S&P500だけ投資するのが一番効率的と言われる所以でしょうか。
とはいえ、未来は誰にも分かりません。
そして、どちらも良質な海外ETFであり、良質な指数です。
悩んだらVOO、高配当が好みならSPYDといった選び方でも、どちらも明るい未来があると思います。
リスクを負った上でのリターンは正当なものとなるでしょう。
管理人の所感|SPYDはどんな人へおすすめか
管理人の所感となりますが、キャピタルだけ追いかける商品よりも、元本を取り崩さずに配当インカムをしっかり受け取りたい人には最適かな、と。
2019年9月1日時点で、分配金(配当)利回りが5%出ているというのは、他の高配当ETFやハイイールド債券ETFを見ても難しいです。
関連記事年5%!HYGは高利回りのハイイールド社債を集めた海外ETF【評価と将来見込みあり】
米国REITを直接買いは怖いけど、ポートフォリオに少し含ませたい、という人には良い選択肢だと思います。
SPYDの口コミ、Twitterでの反応
SPYDの現時点でのリターンを心配している声は少ないです。
長期的に見て、配当による手残りをしっかり確保したい声が多いですね。
Twitterでの反応
「あの銘柄もいいな、この銘柄もいいな」って迷いますよね…
でも、どの銘柄に投資すべきなのかは、目標から逆算すれば良いと思うんです。
僕の場合は「配当金生活」がゴールだから、トータルリターンよりも配当利回り重視!
VTIではなくSPYDに集中投資をする理由はコレです。
— SHO🇺🇸SPYD一点投資だッ! (@InvestorSho) August 27, 2019
SPYD😎
値段的にも👌
私もマイナス含んでますが色々売って結構買いました。 pic.twitter.com/FKS9cBwtqo— はぬまーん (@Hanu_Mannnn) August 27, 2019
迷ったらspyd、それよりも利回りが良い、既に持ってる銘柄なら買値を下回ってたら個別もありくらいの緩いスタンス。
— ぴっちょ (@XRjcncNj8VYfS8p) August 25, 2019
個性的なこともあってか、SPYDは危険という声は見当たりません。
やはり配当金を生活の一部にする、という考えは多いようです。
SPYDを買える証券会社
SPYDは以下の証券会社で購入ができます。
もしかすると、オフラインで取り扱いがある証券会社もあるかもですが、手数料を考えると上記3社での取引が最良でしょう。
SBI証券、楽天証券、マネックス証券は、最低手数料もなく、この3社から買うのが一番です。
管理人は楽天証券 を使って海外ETFを買っています。
まとめ|SPYDはS&P500の高配当上位80社へ投資する海外ETF
- S&P500という優良企業集合体の中から選ばれた高配当企業80社へ分散投資
- 半年に一度リバランスをしてくれる
- 銘柄は平均加重(各1.25%)
- セクターは不動産が多く景気敏感型
コアはVOOやVTといった主要商品で抑えつつ、サテライトで運用をしたいETFです。
管理人は、じぶん年金としてVYMとBNDを半々で積み立てていますが、SPYDも組み込みたくなってきていたり。笑
今後もこういったポケットにお金をいれてくれる資産をコツコツと増やしていこうと思います。
関連記事です。
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お金持ちにまでならなくても、チャリンチャリンと生活を助けてくれる資産を増やし、老後の不安を解消していきたいですね。
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