2018年11月29日に「つみたてNISA後半、開始15年後に世界恐慌や暴落が起こった時の対処法」という記事を書きました。
その中で暴落があるからこそ株式投資のリターンは増えると紹介しました。本記事で深堀りをしていきます。
つみたてNISAに限らず長期投資での暴落は常に恐ろしいものです。特に2018年初頭まで株式クラスは大きなリターンをもたらしました。
今後を考えると、今まで通りの期待リターンは望めないのではないか?と不安になる人も多いと思います。
しかし、長期投資や暴落を不安に思う人がいるからこそ、長期保有が報われるのですね。
記事内容は、改めて長期投資の本質に立ち戻るために、シーゲル教授の本よりインデックス投資派への力強い呪文と効用を紹介したものです。
200年に渡りバイアンドホールドは報われてきました。
管理人がリーマンショックで資産50%以上のマイナスになりながらも、投資を続けられたのはタイトルの言葉を信じたからです。
シーゲル派と呼ばれる人が好きなフレーズですが、一般的なインデックス投資をしている人にも役立つ情報かな、と。
実際、リーマンショックを乗り越えて10年経った現在、管理人の資産は当時の4倍に増えていました。
関連記事リーマンショックで退場をせず投資を続けた結果、10年で資産4倍に
長期投資への不安が、少しでも解消されれば幸いです。
現在、長期投資をしている方も、原点を思い出す事も多いので、ゆっくりお読みください。
暴落があるからこそ配当再投資により長期投資家は報われる
暴落があるからこそ、配当再投資によって長期投資家は報われます。
こいつは何を言っているんだ?と思う方もいるかと思いますので、分かりやすい画像からご紹介をします。
世界恐慌での下落が教えてくれるもの
1929年から1949年という20年間、世界経済も同様ですが、投資家にとって悪夢のような時代が続きました。教科書にも載っている世界恐慌ですね。
その時の暴落具合はこちら。私はリーマンショックで地獄を見たと思っていますが、それ以上の地獄が過去には存在しています。
出典:https://www.macrotrends.net/(Dow Jones 100 years Historical data)
1929年の5559ドルをピークに1933年の796ドルという底まで4年間暴落を続けます。最高値からマイナス85%という強烈すぎる結果を残しました。
株式が上昇相場に戻ったのが1949年。その間、20年です。
元本を回復するにはさらに10年という月日がかかります。30年というのは全員が絶望をする数字。。
しかし、ご存知の通り株式には配当というものがあります。
世界恐慌中に保有を続け、配当再投資をした場合はどうなったか
シーゲル教授の本の中でも、数々の投資家を魅了した株式投資の未来よりの引用です。
12年以上前の本からの写真、我が家の照明もあり画像が見にくいかも知れませんが、ご容赦ください。
配当再投資をしている場合、1945年には元本をほぼ回復しています。
株式の歴史上最大といっていい世界大恐慌を最高値から15年で回復とか控えめにいっても効果絶大ですね!
そこから1954年までの9年間の上がり具合が、配当再投資の効果により尋常でない角度になっています。
長期投資に少し希望が見えてきましたね。
本書で書かれている数字は、1929年に1000ドルを投資した場合ですので、比較するものが変わりますが、株式の下落もさることながら、上昇時の凄まじさには驚かされます。
敗者のゲームでも書かれているように、まさに「稲妻が輝く瞬間」ですね。
これを捉えるのは不可能ですので、やはりバイアンドホールドに徹するのが最適解となります。
株価低迷の時も、企業は稼いだ利益を株主に配当として還元します。株価が下がっている分、配当で買える株数は必然的に増えます。
低迷期こそ仕込み時というわけです。
ここらへんについては、配当再投資のシーゲル尊氏から本よりお言葉を借りていきます。
なぜ下落相場で配当再投資が有効なのか
ここでやっとタイトルに書いた言葉が生きてきます。
配当は下落相場の安全装置(プロテクター)
配当での再投資により、下がっている株式を安く買って保有株を効率的に増やすこと。
これが「価値下落を受け止めるクッションとなる」と書かれています。
配当は「下落相場の安全装置(プロテクター)」とシーゲル先生は読んでいます。
目に見える現金が入ってくるからこそ、投資は続きますし、再投資をしようというモチベーションになりますね。
配当はリターンの加速装置(アクセル)
下落したときに買い増しをした株式は、相場が回復をすれば保有した株数が増えるほどに将来のリターンは加速をします。
そして、ひとたび上昇相場に転じると我慢して増やした株数はリターンの加速装置(アクセル)となります。
株式投資の未来でいうとフィリップモリスが有名ですが、本書を見た方が面白いので割愛しました。。
ちなみに個別株で市場平均を出し抜こうとしなくとも、S&P500で十分過ぎる効果があります。
表で書かれているダウ10種というのは、ダウの犬と呼ばれるダウ工業平均30銘柄のうち、高配当の10社を保有する戦略です。(S&P10種はそのS&P10社バージョン。)
日本でこのような投資をするのは、まだまだ環境も難しいです。
まぁ普通に日本で買えるダウ30やS&P500を見てみると、配当再投資のリターンは十分すぎるものを提供をしてくれますけど。
大恐慌終了後のチャートになるので右肩上がりに見えますが、1987年10月19日(月曜日)のブラックマンデーでは、たった一日で下落率22.6%という暴落をうけ、2000年にはS&P500が三年連続マイナスというITバブル崩壊も受けています。
日本でS&P500の恩恵を受けるならeMAXIS Slim米国株式(S&P500)を買うだけ。ホント良い時代になりました。(厳密には信託報酬分がマイナス)
関連記事eMAXIS Slim米国株式(S&P500)はおすすめ投資信託なのか
円建てで買えて、自動で配当再投資をしてくれ、配当を貰う時の税金は投資信託内で処理してくれるので、課税繰り延べ効果もあります。もう、これ一本で良いのでは?となります。
米国のみへの投資が不安な方は全世界株式という選択肢もあります。こちらも課税繰り延べ効果含め同様です。
関連記事最終兵器eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)これ一本で投資終了
リンクは新しいタブで開かれますので、お暇なときにお読みくださると嬉しいです。
配当再投資については、本書を読む方が理解もできますし、何より面白いので興味のある方はどうぞ。
2017年の上昇相場では高配当戦略は市場平均に対して遅れを取りました。
FANGと呼ばれるIT企業の成長が主力でした。では、今後はどうなるというのを本書を読んで想像するのも楽しいと思います。
ドルコストは配当再投資の代わりとなるのか
散々、配当再投資と書いているけど、これってドルコストと同じだろ。。と思う人もいるでしょう。
シーゲル教授の答えはイエスです。ドルコスト平均法と配当再投資のリターンを押し上げる働きは良く似ている。ただし会社が生き残ることが絶対条件と書かれています。
となると、やはりeMAXIS Slim米国株式(S&P500)の出番となりますね。
シーゲル教授といえば高配当戦略のイメージが強いのですが、もともとは市場平均をバイアンドホールドが最強という本が始まり。
もう20年以上前の本です。たぶん、今読んでも面白いですよ。
株式投資の未来では、どうしても配当再投資のことに意識を奪われますが、ちゃんとコア資産の50%は世界分散を推奨しています。
そして残りの50%をサテライトでのリターン補完戦略として高配当・再投資などがありますら、
本の図を見ると、高リターンの戦略に目が行きますが、改めてS&P500に目をやると市場平均だけで凄まじいリターンを得ることが分かります。
画像は生き残り上位20銘柄のリターンを書いたものですが、長期保有をするには尋常ならざる精神力が必要。。
一方で一番下のS&P500の配当利回りとリターンを見ると、決して悪い数字ではありません。
1957年に1000ドルを投資した場合の結果は46年間で124倍になっています。最初、12倍と勘違いしました。。
我が家は2019年よりつみたてNISAを利用してeMAXIS Slim米国株式(S&P500)を積立をしていきます。
これは、海外ETFですでに全世界株式のVTを保有していたり、高配当ETFのHDVや、生活必需品ETFのKXIを保有しているからの選択であるかも知れません。
シーゲル教授の推奨ポートフォリオ
高配当=シーゲル派と勘違いされやすいので、株式投資の未来で書かれていたポートフォリオをまとめました。
コア資産 | 50% | 米国30% |
非米国20% | ||
補完戦略 | 50% | 高配当戦略 |
グローバル戦略 | ||
セクター戦略 | ||
バリュー戦略 |
補完戦略については各自の好みで各10~15%で保有となっています。
コア資産部分だと、今ならeMAXIS Slim全世界株式か先進国株式が利用できますね。補完戦略は好きな人がする、といった感じです。
無理やり高配当戦略をすすめる本ではなく、市場平均を上回る可能性が高そう、失敗しても大きな損失を受けにくい戦略が紹介されています。
今にしてみれば、本書で学ぶべき事は高配当戦略ではなく、配当再投資+市場平均のリターンはとんでもないという事だと感じます。
まとめ
- 株式の暴落を見ると超長期保有に疑念を抱いてしまう人は多い
- しかし過去を見ると暴落こそが株式リターンの源泉となっている
- 株式低迷時の配当再投資、もしくはドルコストこそが将来のリターンを決める
- 個別株で市場平均を出し抜かずとも配当再投資の効果は十分に得ることが出来る
相場にボラティリティが戻ってきた事や、ここ数年の株式急騰を受けて上がりすぎた株式に対して将来は悲観的にみえます。
長期投資をするにおいて、後ずさりしてしまう状況ですが、株式の低迷期こそ将来リターンの源泉であるなら、ゆっくりと資産を貯めていくチャンスと考えられると良いですね。
もちろん、個々人のリスク許容度は違うので、自分が大丈夫な金額で。
つみたてNISAの期間は20年です。非課税が終わっても一般口座で長期保有できます。なので気長にやっていきましょう。
お読み頂きありがとうございました。
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関連記事です。
私のポートフォリオはリスク資産50%、無リスク資産50%という状態です。個人的には上がったら得、下がったら安く買えるので得、といった感じで精神的に楽なポートフォリオを紹介しています。
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