5000万円あれば老後にどれくらい取り崩しできるのかという記事を書きました。
シミュレーターでは利回り3%で運用した場合、こんな感じで取り崩しが可能です。
- 月12.5万円 → 60年以上
- 月15万円 → 58年4ヶ月
- 月20万円 → 32年5ヶ月
月12.5万円なら永久機関みたいに減らずにいけます。
月15万円を使ったとしても58年持つので遺産を残すことも可能。
さすがに月20万円を使うとちょっと厳しい。
FIREはムリでも、老後資産と考えると庶民には十分な金額なのでは無いでしょうか。
さて、これは毎年安定して3%で回った場合のお話。
というワケで、過去のリターンに当てはめて試算をしたので記事にてシェアします。
今回の試算にあたってはバックテストの魔術師ナザールさんに相談したところ、めちゃくちゃカンタンにできるエクセルファイルを貰いましたw
ナザールさんのtweetは初心者向け情報も多いので良かったらこの機会にフォローをどうぞ。
では、米国株がアカンかった時代に老後を迎えた場合どうなってしまうのかを一緒に見ていきましょう。
老後5000万円で大丈夫だろうか?老後、リーマンショックが来た設定でシミュレーションしてみた
試算については下記のような前提でシミュレーションしました。
- 1998年1月1日の円建てS&P500で計算(米国株ポンコツ時代からスタート)
- リスク資産3000万円、無リスク資産2000万円、合計5000万円
- 上記から毎月15万円を取り崩していく
- 年間3.6%取り崩していく(月割で0.3%)
- 都合上、1998年から2021年までのデータで22年分(65歳から年金を貰うと87歳)
2024年からは新NISAもあるので、税金もかからず、かなり近い結果を見ることができるのではないでしょうか。
15万円という金額は最悪年金が雀の涙でも文化的最低限の生活ができる金額としてシミュレーションしました。
記事後半では現実的な月10万円取り崩しも調べています。
まずは1998年当時からのS&P500のチャートを見てみましょう。
ITバブル崩壊とリーマンショックを挟んでいるので、これ以上の最悪を考える場合、投資をせずに個人向け国債だけを保有しているのが良いと思います。
逆に言えば、この時期でも生活が大丈夫と感じるなら大体の老後は大丈夫なんじゃないですかね。
前置きが長くなりました。
結論画像です。
※スマホの場合、見にくくてスミマセン。拡大しつつ見ていただけると幸いです。
- 定率取り崩し 49,775,465円
- 定額取り崩し 32,398,143円
- 運用なし取り崩し 8,600,000円
結果だけ見ると運用の凄さを感じますね。(とはいえ定額取り崩しでも、もう一回ITバブル崩壊とリーマンショックをくらっても大丈夫。いや、だいじょばない。)
定額(利回り関係なく月15万円取り崩し)だとリーマンショックの底あたりでは資産が2000万円を割りそうな状況ですが、そこを耐えると劇的に資産が回復していきます。
米国株も調子が悪いと10年以上低迷するので、ここらへんをイメージしておくと老後のメンタルに良いかもですね。
参考までに定率取り崩し額の推移も。
定率3.6%なので株価が下がると取り崩し額も減ってしまいます。リーマンショックの底だとかなり少なくなりますね。
リーマンショック被弾後に資産も取り崩しを続けるため一番悪かったときでS&P500が38,480円、キャッシュ34,226円を取り崩して、72,706円の生活費にしかならない月があります。
リーマンショックのときは円高、株安で▲60%くらいになっていたので、さもありなんです。
参考までに1990年からの円建てS&P500推移。
1990年1月1日を50,000円に合わせています。
1990年から1995年までは横ばいなのに、そこから短期間で3倍にしたITバブルは凄いですね。
そのあと、2000年から2013年あたりまではホントに米国株はポンコツでして、米国株だけ投資するのはシーゲル派という変人だけだった記憶です。
さて、上記の結果を受けて管理人が思ったことなど。
とりあえず定率取り崩しが良いな
5000万円、月20万円取り崩しは厳しそう
でした。
定額取り崩しは生活が安定するのですが、暴落が終わったあとの上げ相場でも資産が回復していかないのが残念なところ。(定額だと下がっているときに大きく元本を取り崩してしまうため。)
代わりに低迷期は清貧に生きつつ、上げ相場や回復期に贅沢で良いかな、と。
実際に試してみたところ、やっぱりヤバかったです。
5000万円、月20万円取り崩しバージョン
月20万円使えると生活が楽なんですが、今度は資産のほうがヤバいですね。
定額だと87歳時点で540万円しか残っていません。
代わりに定率の場合、月々の生活費は変動しますが、リーマンショックを耐えきったあとは資産が急回復して87歳時点で3700万円まで回復。
ここらへんを考えると一定規模のリスク資産を保有しておくと老後の安心感も変わるかな、と。
まぁ、運用していない場合に比べるとそれよりはマシ(運用しないと使い過ぎで20年ちょいで赤字生活)なんですが、それでも定率で安定して使うには心許ない金額ですよね。
円建てS&P500と付き合いつつ、月20万円使うなら7000万円くらい貯めないとダメかも。
定率で取り崩した場合の生活費の推移。
月20万円目標で取り崩す(年4.8%)のでさすがに暴落中でも使えるお金はそこそこあって月10万円前後。
贅沢はできないので、最悪のケースとして7000万円を目指すのが良いかな、と。
もっと清貧に過ごすのでも良いから月10万円でシミュレーションしました。
5000万円、月10万円取り崩しバージョン
全体として取り崩し額が少ないため、リーマンショック後の低迷期を乗り越えるときでも定率、定額ともに3000万円をちょっと切るくらいは残っています。
そのあとの回復も凄まじくて定率で使っていても22年後に資産は5900万円と、取り崩しを始めた22年前を上回りました。
お、これが安定して使えるベストな取り崩しかも知れませんね。
参考までに定率で使える取り崩し額の推移。
定率(2.4%)だと暴落後の生活費として使えるのが6万円を切る時期があります。
ただ、定額の月10万円だと資産全体もそこまで減らないので、回復期に株数が多く残っているため資産も劇的に回復していきます。
これを考えると月10万円を定額で取り崩すのが精神的にも良いかな、と。
とりあえず最悪の5年を乗り過ごせば何とかなりそう、というのが今回のシミュレーション結果。
これ以上の規模でアカン低迷が続くと世界恐慌級なので諦めて一生清貧で過ごします。(世界的にどうしようもなくヤバい状況でしょう。)
あまり変わらない数字ですが分かりやすくカウチポテトにした場合も計算しました。金額は月15万円取り崩しです。
5000万円、カウチポテトで月15万円取り崩しバージョン
- 定率取り崩し 44,866,044円
- 定額取り崩し 28,431,786円
- 運用なし取り崩し 8,600,000円
リスク資産3000万円、無リスク資産2000万円の6:4と大して変わらない感じですね。
定率取り崩しで生活費として使える金額の推移。
若干、定率金額の底が改善されるものの、6:4と大した差がないのは同様。
安定させるには資産規模を上げるのが一番そうなので引き続き頑張ります。
いや、これ最悪の時代を想定しているので、もう少し希望あるのが良い、という人もいるでしょう。管理人もそうです。
というワケで、円建てS&P500のデータが取れている1990年1月1日を基準にしてみました。
1990年を基準に取り崩した場合
1990年からのS&P500チャートです。
32年となるとリーマンショックも含めて緩やかな右肩上がりと見れなくもありません。
ただ、私たちが使う場合、円建てということを忘れないようにしたいですね。ちなみに円建てS&P500はこちら。
横ばい、谷、奈落の崖、アホみたいな暴騰。
まともに期待してるとメンタル病みそう。。
しかし取り崩しとなると世界が一変します。
また前置きが長くなりました。
サクサク見ていきましょう。
1990年を基準とした5000万円、月15万円(年3.6%)取り崩し
取り崩し当初は円建てS&P500がずっとヨコバイなのでジリジリ資産が減りますが、ITバブルとともに資産が2倍以上に膨れ上がりますね。
ここまで膨れてしまうと定率も定額でも満足できそうな数字。
リーマンショック後の暴騰を見ていると、定額取り崩しの場合、取り崩しが少ないため93歳というタイミングでに1.1億円になります。死ぬ直前が資産最大で億り人は嫌だなぁ。。
定率で使っていても93歳時点で8600万円もあります。
生活費推移を見てみましょう。
定額だと毎月15万円で安定しています。
定率は現金+株価連動なのでITバブルではウハウハ状態。毎月25万円とか使えます。
これぞ求めていた資産取り崩し生活。
死ぬ間際に8000万円もいらんなぁ、ということで、散財バージョンの月20万円を試してみました。
1990年を基準とした5000万円、月20万円(年4.8%)取り崩し
5000万円から毎月20万円を取り崩すと年率4.8%、月割り0.4%となります。
4%ルールを超えているので、たぶん採用する人は少なそうですが、死後にお金は持っていけない派はありかも知れません。
ITバブル崩壊とリーマンショックで沈むものの、定額、定率どちらも死亡間際の93歳くらいのほうが資産増えている状況に。。
リーマンショック後の回復がいかに凄かったか分かりますね。(そら米国株人気出ますわ。)
定率で取り崩した場合の推移。
良いときもあれば悪いときもある。
絶妙なバランスですが、これなら毎月20万円固定で取り崩すほうが精神的に良い気もしますね。
儲かってるときに貯金してるのも良いですが、上げ相場であれば定額で取り崩すほうが株数も残るので暴落がきても次の上げ相場での回復があるので。
長くなってきたので、そろそろ管理人の考えをまとめて終わりにしようと思います。
おわりに|5000万円あっても老後すぐに株価低迷がくると生活は厳しい。7000万円を目標に頑張りたい
5000万円あれば悠々自適と思っていましたが、老後初期に株価が長期低迷(大きな下落をともなう場合はとくに)をしてしまうといきなりギリギリの感じになるのが分かりました。
そして米国株はわりと長期低迷するので、管理人の老後スタートあたりに暴落がくるとかありそうな気もします。
逆にこれから10~15年が暗黒期の場合、管理人の老後はシミュレーション後半のような素晴らしい成績になりそうです。
自分でもITバブル崩壊、リーマンショックを老後すぐにくらうとヤバいだろうな、と思っていましたが案の定ヤバい結果となりました。
そして思ったことは
- 5000万円じゃヤバそう
- 7000万円を目標にしておかなきゃ
- 65歳で定年しても副業ですこしくらいは生活費を稼げるようにしておく
という身も蓋もないことでした。。
ただ、漠然とお金を増やしていくより、わりと悪そうな条件を想定しておくほうが、老後の対処もしやすそうですし、余ってしまいそうなら80歳くらいから消費を増やすか相続をしていけば良いだけですし、個人的にはこちらのほうが向いてそうです。
というワケで、今日は老後、リーマンショックが来た設定でシミュレーションしてみたというお話でした。
ここまで悪い条件はなかなか無いと思いますが、これをくらっても生き残れるようお互いコツコツ資産形成を頑張っていきましょう。
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関連記事です。
資産額別に作っているのでお役に立てば嬉しいです。
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