株式より値動きが少なく、高利回りの債券ETFを探している人へ向けた記事です。
記事内容は海外ETFのHYGを紹介したもの。
基本情報と共に、競合商品との比較や、分配再投資をした場合のリターンを紹介しております。
ポートフォリオの一部にインカムを重視したい方の参考になれば幸いです。
HYGの基本情報やチャート
HYGはブラックロックが運用する高利回り社債ETFです。
債券には格付けというものがあり、先進国の国債など安心できるものから倒産リスクのあるジャンク債まで様々。
S&PやMoody’sは格付け会社として有名ですね。
HYGはその中でも投資先として格付けが低く利回りの高い社債へ1000銘柄ほど分散投資してくれるETFになります。
画像引用元:PayPay証券-HYG
分かりやすく日本の企業でいくとBBBが武田薬品クラス、BBはソフトバンクグループになります。
HYGは保有銘柄の50%がBB格付けの社債です。
格付けが低いという事は、将来の不透明さがあるので、もちろん利子は高くなりますね。
画像引用元:PayPay証券-HYG
美味しいけど怖いという商品ですがETFを使う事で、個人では難しい分散投資が可能になります。
HYGの基本情報
ティッカーコード | HYG |
ベンチマーク (連動指数) |
Markit iBoxx米ドル建てリキッド ハイイールド指数 |
保有銘柄数 | 1,103 |
投資スタイル | ハイイールド債券が主力 |
配当スケジュール | 毎月 |
経費率 | 年0.49% ETFとしては高く感じるが現実的な数字 |
ベータ値 | 0.32 株式との相関がかなり低い |
平均利回り | 5.26% |
実行デュレーション | 3.81年 |
加重平均残存期間 | 4.48年 |
設定日 | 2007年4月4日 |
上場市場 | NYSE Arca |
毎月分配ですが、ETFはその性質柄、発生した利益(利子)の中からしか分配金を出せません。
タコ足配当などは無いので、ご安心ください。
保有している社債も、4~5年程度で入れ替わるので想像より手堅い運用をしています。
設定来と直近のチャート
画像はYahoo!financeで直近1年チャートです。
債券というのにコロナショックでは20%以上下落しました。
参考として債券ETFのBND、S&P500ETFのVOOとの比較をみてみましょう。
青:HYG(ハイイールド社債)
水色:BND(米国トータル債券)
ピンク:VOO(S&P500ETF)
BNDの安定感、VOOの回復力が凄すぎて参考になりません。
とはいえ、年利回り5%の分配金が出るとなると、かなり美味しい海外ETFに思えてきます。
設定来のチャートもみてみましょう。
2007年4月4日が設定日ですので、もろにリーマンショックを受けています。コロナショックでも怒涛の下げを見せてくれましたね。
これくらいのリスクがあるETFというのは憶えておきたいですね。
その後は80~95ドルあたりで安定しているように見えます。
分配込みリターンを見るとHYGの魅力が出てくる
設定来のチャートをみていると、リーマンショックの最高値を更新できていない微妙なETFにかんじます。
とはいえ、高利回り債券をうたっているので分配金込みでの設定来チャートを確認しましょう。
緑色:HYG
水色:AGG
画像はETF replayから。比較として総合債券のAGG(BNDと同じ指数)を載せています。
AGGの分配金込みリターンが優秀過ぎて困ります。。
HYGと高配当ETFのVYMを比較してみる
違った角度からみてみるため、高配当ETFのVYMとも比較をしてみました。
緑色:HYG
水色:VYM
直近3年で見るとコロナショックの下落が目立ちますが、平常時は株式よりボラティリティ(値動きの幅)が抑えられていますね。
HYGはガツンと下がった時に一般NISAで保有しておくと、配当課税もなく美味しいETFなのかも知れません。
連動指数はMarkit iBoxxR 米ドル建てリキッド・ハイイールド
HYGはBB格を中心とした投機的債券を主力としています。
画像はブラックロックより。
とはいえ、BBは比較的まっとうな企業のイメージです。
状況によってはデフォルトのリスクがありますが、銘柄数を1000以上に分散していることが強みです。
ソフトバンクのドル建て債券でもBB扱いですので、ここらへんは十分かな、とも。
HYGの経費率(信託報酬)は年0.49%
経費率が0.49%と、海外ETFの中では高く感じますが、個人で高利回り社債を分散投資はできません。
ちょっと攻め系の債券。それがHYGの売りポイントではないでしょうか。
HYGの保有上位10銘柄
一番上のBLK CASHはキャッシュ=現金ですね。
かろうじて知っている銘柄にSPRINTがあります。全米4位の携帯電話事業者です。
2013年7月にソフトバンクが大型買収した銘柄で、加入者数は5000万人以上という規模です。
1銘柄あたりの保有も1%以下で分散が素晴らしい。
HYGの保有銘柄セクター
業種 | 保有比率(%) |
通信 | 24.56 |
非景気循環間消費 | 15.70 |
エネルギー | 13.54 |
資本財 | 12.20 |
テクノロジー | 8.32 |
素材 | 7.33 |
金融法人 | 3.56% |
電機 | 2.89 |
キャッシュ、デリバティブ等 | 1.81 |
お金のかかる通信分野が4分の1を占めますね。
HYGの分配金利回りは5.0%
2020年6月11日時点での過去12ヶ月分配金利回りは5.26%と魅力的な数字。
今後の金利情勢や景気で変わってきますが、米国債中心のBNDと比べると今後も高い利回りを提供してくれそうです。
HYGのライバル商品や個人的評価
高利回り社債のHYGに直接的なライバル商品はありません。
むりやり参考比較するなら、米国債中心のBNDになるのかな、と。
HYGとBNDの比較チャート
緑色:HYG
水色:BND
BNDのような安定感はありませんが、ポートフォリオの一部に組み入れるには良いETFだと思います。
HYGの将来見込み(モンテカルロシミュレーション30年)
上記の予測は将来を表すものでは無いのでご注意を。
債券といえどリスクは高いので30年の長期保有をしても、あまり報われない可能性もあります。
反対にリターンも高いため、上位10%に入った場合、30年で5倍になる可能性がありますね。
実際には長期再投資をした場合、所感ですが、、、
- HYGを15年バイアンドホールドして2倍
- HYGを30年バイアンドホールドして3倍
くらいが理想的なリターンと思います。
米国債のみに比べリターンが期待できますが、期待し過ぎもよくないですね。
関連記事【リスクはリターンを蝕む】株式投資で複利リターン6%は期待し過ぎの可能性大!
VOOとHYGの比較チャート
緑色:HYG
水色:VOO
株式ETFの王様、VOO(S&P500ETF)との長期チャート比較です。こうやって見るとザ・債券といった感じに見えますね。
リーマンショック以降、米国株が強過ぎたので及びませんが、約10年で65.5%というリターンは債券ETFとしては嬉しい数字です。
しかし、買い時を間違えると厳しい時期もあります。
コロナショックのような不安定な市況では、分配金込みリターンでマイナスになっている期間がそれなりにあります。
中級者向けな海外ETFとも言えます。
代わりに下がった時に勇気をだしてリスクオンした投資家にはしっかり報いてくれるでしょう。
HYGと不動産(REIT)ETFのIYRの比較チャート
緑色:HYG
水色:IYR
リーマンショック前に設定されているREITとの参考比較です。
どちらも高いインカムを期待する商品ですが、暴落時の下げには注意していきたいですね。
外部リンクブラックロックーIYR
管理人の所感|HYGはどんな人へおすすめか
株式との相関性も低いことから、ポートフォリオの一部に動きの違う商品を組み込みたい人には最適と思います。
また、インカム重視の投資家も相性が良いでしょう。
コロナショックではSPYDを買いまくっていましたが、今後もくるであろう景気後退局面で勇気を出して拾おうと思います。
国内ETFで為替ヘッジ付きHYG(1497)とS&P500ETF(2558)を組み合わせて保有をしようかとも考えています。
値動きが大きいとはいえS&P500よりはマイルドなので、暴落があった際は1497を売ってリバランスするのも良いかな、と。
もし損失が出たときは、配当課税との相殺が可能ですし。
VYMとHYGを使った自作バンガード・ウェルズリー・インカム・ファンドができるかも
バンガードの投資信託で、バンガード・ウェルズリー・インカム・ファンドというものがあります。
ざっくりいうと高配当株式40%、ハイイールド債券60%のアクティブ型バランスファンドです。
戦績は見事で、ITバブル崩壊をプラスで乗り切り、リーマンショックもマイナス10%程度で凌いでいます。
それでいてリターンはS&P500に肉薄しているので、米国部分となりますが、なんちゃってウェルズリーは出来るかも知れません。
※本物の方は、株式、債券ともにグローバルなので同一のものは作れません。
今でも最強の投資信託と思っているので、いつか実現したいですね。
現在は仮でVYM50%、BND50%のじぶん年金を運用中です。
関連記事悲報:バンガード・ウェルズリー・インカム・ファンドがひっそり販売終了
HYGの口コミ、Twitterでの反応
HYGを集中投資している個人投資家さんは、少し探したくらいではいませんね。
もし、いたら仲良くなりたいです。
Twitterでの反応
HYGはハイ・イールド社債を集めた米国ETFですが、その特徴は
・配当利回り5.29%と高配当
・平常時の値動きが安定
ということ。
デュレーションは2.88年なので金利1%変動しても2.88%しか値動きしないということ。
AGG5.3年と比べても安定してますね。インカム目的としては面白いETFと言えそうです。— かいまる (@leverage_toushi) August 25, 2019
書いている通りなのですが、デュレーションが短いため金利変動の値動きは比較的軽くなるのがメリットです。
HYGを取り扱っている証券会社
HYGは以下の証券会社で購入ができます。
オンライン
オンライン+店舗
- エイチ・エス証券
- SMBC日興証券
- 大和証券
- 野村證券
- みずほ証券
- 三菱UFJモルガン・スタンレー証券
- 三木証券
- 松井証券
- 東洋証券
- カブドットコム証券
- 明和証券
- LEADING証券
- フィディリティ証券
- New-S
- 立花証券
- 長野証券
- ゆたか証券
- 岡地証券
- キャピタルパートナーズ証券
- クレディスイス証券
- フィリップ証券
- エイト証券
- むさし証券
- UBS証券ウェルス・マネジメント部
店舗でも買うことができますが、基本的にはネット証券がオススメです。
理由は手数料が安いから。
SBI証券、楽天証券、マネックス証券は、最低手数料もなく、この3社から買うのが一番です。
管理人は楽天証券 を使って海外ETFを買っています。
まとめ|HYGは分配金利回り5%を狙える社債ETF
- HYGは高利回りの社債を集めたETF
- 銘柄数は1000以上あり分散に優れる
- 分配金利回りも5%近く魅力的
- 平常時は良いが、株式暴落時には似たような動きをする
今すぐ買うかというと悩みますが、長期的にはポートフォリオの一角に組み入れたいと思います。
株式の成長キャピタルを取るのも良いし、債券のインカムも魅力ですね。
こういった情報も調べながら、コツコツと投資を続けていきましょう。
お読み頂きありがとうございました。
応援クリックをして頂けると毎日更新する励みになります。
にほんブログ村
ハイイールド債券に興味をある人もぜひ!
意外と読まれている記事