VYMという海外ETFがあります。これ一本で米国株の高配当銘柄に幅広く分散投資ができる商品として人気があります。
検討をしていたり興味がある人も多いのではないでしょうか。実は私もそうです。
高配当銘柄=成長性が低いというイメージがあるかも知れませんが、過去リターンは強力な成長を見せてくれています。
将来に備えて自分年金という育て方をしたくなるのがVYMの魅力です。
そういった意味では、私のような40代が今からゆっくりと積み上げていきたいETFでもあります。
参考になりましたら幸いです。
米国高配当株式ETF、VYMの特徴と概略
VYMは FTSE ハイディビデンド・イールド・インデックスという指数に連動をさせる海外ETFです。
全てドル建てで、中身は全て米国株になります。非常にざっくりと言えば、バリュー寄りの大型株ETFと思って大丈夫です。
大きな特徴しては「大型株の中でも、予想配当利回りが市場平均を上回る銘柄を重点的に組入れる」ことです。
2019年3月16日時点での配当利回りは2.5%です。
以前は常連であったMicrosoftは株高により配当利回りが下がり、2019年3月時点では構成銘柄から外れています。
前向きにとらえるなら、株価が上がり過ぎた銘柄を保有しないと捉える事も出来ますね。私はけっこう好きな考え方です。
反対にAmazonのような急成長をしている会社は配当を出さないので、構成銘柄には無く、そういったものを取り込む事は出来ません。
下記画像を見ると全体が掴みやすいかと思います。バンガードのVYM商品紹介PDF(2018年12月分)からの引用です。
●で表されている中心傾向を見るとバリュー寄りの大型株で構成されているのが分かりますね。
参考としてS&P500ETFであるVOOはブレンドど真ん中になります。
VYMの概略
ティッカー | VYM |
経費率(信託報酬) | 0.06% |
ベンチマーク | FTSEハイディビデンド・イールド・インデックス |
構成銘柄数 | 397 |
配当スケジュール | 年4回 |
ETF純資産総額 | 215.95億米ドル |
設定日 | 2006年11月10日 |
経費率(信託報酬)は2019年2月26日より0.08%から0.06%へ下がっています。その前は0.09%あたりだったと思います。
純資産額が増えて運用効率があがれば、経費率を下げるというのを着実に行ってくれているところも米国ETFの魅力です。
関連記事バンガード、VT、VYM、VWOなどの経費率(信託報酬)を値下げへ
配当は年4回、設定日は2006年11月でリーマンショックを乗り越えてきたETFという点も信頼が出来ます。
純資産は日本円に換算して2兆円を超えており、唖然とするしかありません。構成銘柄数も400近くで推移しているので分散性も十分です。
VYMの上位構成銘柄
2018年12月末時点での構成銘柄です。
Johnson & Johnson | 3.8% |
JPMorgan Chase & Co. | 3.5% |
Exxon Mobil Corp. | 3.1% |
Pfizer Inc | 2.7% |
Verizon Communications Inc. | 2.5% |
Procter & Gamble Co | 2.5% |
Intel Corp. | 2.3% |
AT&T Inc. | 2.2% |
Chevron Corp. | 2.2% |
Merck & Co. Inc. | 2.2% |
上記10銘柄の合計 | 27.0% |
上位10社で27%を占めます。少し上で書きましたが、Microsoftが外れました。
ヘルスケア、金融、エネルギー、生活必需品、情報通信と満遍なく分散されているのが特徴ですね。
インテルも高配当扱いになっていますね。盤石すぎるラインナップです。S&P500同様に世界中で必要とされまくっている銘柄の集合体になります。
株式リターンの本質は企業の利益からもたらされる事を考えると、長期保有をしていく安心感があります。
もしかすると、将来的にはインフラ化して高配当になったAmazonやGoogleが上位銘柄に入っている可能性もありえるかも知れません。
VYMのセクター比率
各セクターの比率です。
金融 | 15.1% |
ヘルスケア | 14.7% |
消費財 | 13.3% |
資本財 | 11.1% |
テクノロジー | 10.6% |
消費者サービス | 9.6% |
石油・ガス | 8.8% |
公益 | 5.0% |
素材 | 3.7% |
不動産 | 0% |
景気に左右されやすい金融を含みますので、金融危機等の暴落時にはS&P500と同様の下落を受けます。
リーマンショックでは事実そうでしたが、あの時は全ての銘柄が下がっていた気がするので参考になりにくいかも、です。
高配当と言えばREIT=不動産になりますが、VYMには含まれません。バンガードの説明では下記のように書かれています。
REITは除外されています米国内国歳入庁(IRS)の定める適格配当(qualified dividend)に対して、現行適用されている優遇税率が、REITには適用されないためです
個人的にはS&P500に内包される事、大きなボリュームではない事から特に必要はないかな、とも思います。
もう一つの米国高配当株式ETF、HDVとの違い
管理人はVYMとは違う高配当ETF【HDV】を保有しています。
どちらも米国の高配当銘柄へ分散投資をしてくれるものですが、大きな違いはセクター比率です。
HDVは金融と通信を合わせても10%以下で、エネルギー、生活必需品、ヘルスケアで60%近くを占めます。
かなり性格が違った銘柄構成になっています。
VTMの長期チャート
リーマンショックでは下落率50%以上を被っています。引用はYahoo!financeです。
どれだけ優秀なETFといってもリスクは常に考えておく必要がありますね。
とはいえ、底からの回復力は配当を含まない状態で約3倍となっているので、配当を貰いつつ株式の成長もリスクも引き受ける必要があります。
VYMの配当履歴(増配チャート)
ざーっと書いているので、さらっと見ていただければ。配当データはチャートと同じくYahoo!financeです。
配当月 | 配当金 | 年間配当額 |
2006年12月 | 0.175 | |
2007年3月 | 0.268 | |
2007年6月 | 0.296 | |
2007年9月 | 0.346 | |
2007年12月 | 0.447 | 1.357 |
2008年3月 | 0.371 | |
2008年6月 | 0.371 | |
2008年9月 | 0.371 | |
2008年12月 | 0.33 | 1.443 |
2009年3月 | 0.31 | |
2009年6月 | 0.28 | |
2009年9月 | 0.257 | |
2009年12月 | 0.321 | 1.168 |
2010年3月 | 0.229 | |
2010年6月 | 0.273 | |
2010年9月 | 0.276 | |
2010年12月 | 0.313 | 1.091 |
2011年3月 | 0.31 | |
2011年6月 | 0.335 | |
2011年9月 | 0.307 | |
2011年12月 | 0.375 | 1.327 |
2012年3月 | 0.328 | |
2012年6月 | 0.37 | |
2012年9月 | 0.403 | |
2012年12月 | 0.492 | 1.593 |
2013年3月 | 0.361 | |
2013年6月 | 0.419 | |
2013年9月 | 0.437 | |
2013年12月 | 0.532 | 1.749 |
2014年3月 | 0.401 | |
2014年6月 | 0.476 | |
2014年9月 | 0.469 | |
2014年12月 | 0.562 | 1.908 |
2015年3月 | 0.462 | |
2015年6月 | 0.56 | |
2015年9月 | 0.528 | |
2015年12月 | 0.599 | 2.149 |
2016年3月 | 0.478 | |
2016年6月 | 0.578 | |
2016年9月 | 0.483 | |
2016年12月 | 0.667 | 2.206 |
2017年3月 | 0.56 | |
2017年6月 | 0.569 | |
2017年9月 | 0.602 | |
2017年12月 | 0.643 | 2.374 |
2018年3月 | 0.608 | |
2018年6月 | 0.63 | |
2018年9月 | 0.672 | |
2018年12月 | 0.739 | 2.649 |
2019年3月 | 0.652 | |
2019年6月 | 0.625 | |
2019年9月 | 0.786 | |
2019年12月 | 0.779 | 2.842 |
順調に4半期/年間ともに配当が伸びています。
赤字にしている部分は、リーマンショック前の最高値あたりの配当と、株価が同程度まで戻った時期の配当比較用です。
配当の源泉である企業価値(株価)がしっかりと上がることで、将来保有を続けていった時の配当金が想像しやすいですよね。
同水準に戻った株価に対して、配当金の支払いが増えているのは、まさに高配当ETFたる魅力の一つ。アメリカの連続増配企業の多さに触れる事ができます。
管理人はリスク許容度が高くないので、VYMとBNDを半々で保有して自分年金を作っていきたいと思っていたりします。
2020年2月18日追記
分配金推移は画像の方が分かりやすいので追加しました。
海外ETFの分配金(配当金)二重課税は長期投資でも大きな損ではない
読者様より『二重課税の分、投資信託の方が良いのでは?』と、ご質問を頂きました。
結論としては若干投資信託が有利ですが、金額、配当利回り、期間の取り方で見ると、5%配当と30年以上保有で少し変わるなぁ、という感じです。
関連記事読者質問|海外ETFの配当課税は、もしかして長期投資に向かないのでは?
下の図が参考になると思います。
S&P500との比較
VYM設定日から、S&P500との比較チャートです。水色がS&P500(GSPC)、青色がVYMになります。
2013年くらいまではS&P500とほとんど同じ動きですね。それ以降は高配当株にとって苦難の時期が続きます。
FANG(ファング)銘柄と呼ばれるIT銘柄の寵児が強すぎました。
今だと、Google、Amazon、Facebook、Appleの頭文字をとったGAFA(ガーファ)ですね。
半面、相場が悲観的になってくると、成長株は売られて高配当株が買われる可能性もあります。2013年までの数字を見つつ、配当込みで考えていきたいですね。
配当込みだと、もう少し近付きますが成長株も取り込みたい場合は、素直にS&P500であるVOOやVTIへ投資をする方が良いでしょう。
楽天VYMという投資信託
海外ETFという事で少しとっつきにくい部分があるかも知れませんね。
そういった時は楽天・米国高配当株式インデックス・ファンドを使えば円建てでVYMへの投資が可能です。
配当金を直接欲しい、というワケでない場合、こちらも選択肢に入れても良いでしょう。どんどん、投資をする環境が良くなってきています。
まとめ|VYMの評価と所感
私の所感としては、高配当ながらS&P500に近いリターンを出しつつ、バリュー投資の性格をもったETFです。
400近い高配当銘柄の集合体ですので、将来的にVYMが成長することで投資家が得る配当も増えていく事に期待がもてますね。
子供が小さく余裕がある今のうちに、少しでも良いので保有をしていこうと企んでいます。
買った際は長期チャートを思い出しつつ、老後まで大切に育てようと思います。
ちなみに海外の一次情報が欲しい…という人はモトリーフールの無料メールマガジンがおすすめですよ。
ホントに無料で良いの?と思うレポートが読めますし、週に一度なので面倒にもなりません。
関連記事です。
【高配当海外ETF】長い付き合いの老後資産HDVを紹介【実際の配当金画像あり】
ブラックロック社の高配当ETF、HDVの紹介です。こちらはVYMとはかなり銘柄構成が違います。
配当金の高さや、金融株をあまり組み込まないので、管理人はこちらを老後資産のコアにしています。
意外と読まれている記事