コロナ禍が落ち着いて以降、猛烈なインフレで焼かれています。
これは私たち現役世代でも大変ですが、親世代のことも心配になりますよね。読者様よりご相談をいただいたので記事にて回答させていただきます。
もし良かったらお付き合いください。
【読者質問】親世代のインフレ対策について投資をすすめるべき?
まずは読者様の質問から。
題名: 親世代のインフレ対策について
メッセージ本文:
はじめまして。KOと申します。
かれこれ5年以上は読ませていただいておりますが、初めてメッセージさせていただきます。75歳の一人暮らしの母の資産運用について、ご意見を伺えればと思いご連絡しました。
母は3年前に父を亡くし、相続で資産は約3,000万円あります。自宅に住み、自営業で月15万円くらいの収入があり、年金も受けています。生活水準は普通以下で、投資はこれまで全くしていません。健康で元気なので、100歳まで生きる可能性もあります。最近、物価の上昇もあって資産が目減りし、晩年に生活が苦しくなってしまうのではないかと少し心配になってきました。
私は43歳で、つみたてNISA開始時から投資を続けており、今ではほぼFIREできる資産があります。その経験から、母も少しずつでも運用すべきか悩んでいます。
もし投資を勧めるとしたら、
- 投資自体を始めるべきか
- どのような運用が現実的か(債券中心、4資産分散、オルカンなど)
- 一括投資と積立投資、どちらが良いか
についてアドバイスいただけると助かります。
お忙しいところ恐れ入りますが、気が向きましたらご回答くださるとありがたいです。
かなり昔からご愛読いただきありがとうございます。
43歳でFI達成しているのはめちゃくちゃ凄いですね。大変な苦労と、投資でしっかりリスクを取った効果も大きいかと思います。
この経験があると、親世代の生活を何とかしてあげたい、というのも分かりますね。(最近だと株高過ぎてリスク資産を持っていないことがリスクという状況が続いていましたし。)
さて、毎度のことですが、管理人は国語力が皆無です。汲み取る意図が全然違っていたら申し訳ございません。
私ならこうするかなぁ、というものを書いていきますので、もし参考になりましたら幸いです。
結論:たぶん個人向け国債だけで余裕と思う
結論から書きますと、貯金で持っている3000万円を個人向け国債変動10年にしておけば十分インフレ対策になります。
年金収入と生活費が分からない部分がありますが、100歳まで生きても単純計算で毎年100万円+年金収入があれば生活が困ることはないかと思います。
余裕があるなら個人向け国債を一緒に買ってあげると良いでしょう。
3000万円の1%は大きいです。
税金を引いても年間24万円。
年金+利子収入24万円で生活。
生活水準が平均以下で70歳だと、これだけでも十分大きい収入かも。
ご質問だと分からなかったのですが、KOさんはすでに十分な資産があるので遺産も不要と考えると、3000万円を取り崩しながら生活でも大丈夫ですよね。
例えばすべて個人向け国債変動10年にして、もしものための資金1000万円は残して置き、2000マ年を30年(100歳)で使い切るプランを考えてみます。
| 年数 | 年齢 | 年初残高 (A) | 税引前利息 (B) (A × 1.0%) | 税引後利息 (C) (B × 0.79685) | 年間取り崩し元本 (D) | 年間合計収入 (C + D) | 年末残高 (A – D) |
| 1 | 70 | 30,000,000 | 300,000 | 239,055 | 667,000 | 906,055 | 29,333,000 |
| 2 | 71 | 29,333,000 | 293,330 | 233,785 | 667,000 | 900,785 | 28,666,000 |
| 3 | 72 | 28,666,000 | 286,660 | 228,514 | 667,000 | 895,514 | 27,999,000 |
| … | … | … | … | … | … | … | … |
| 11 | 80 | 23,330,000 | 233,300 | 185,865 | 667,000 | 852,865 | 22,663,000 |
| … | … | … | … | … | … | … | … |
| 21 | 90 | 16,660,000 | 166,600 | 132,710 | 667,000 | 799,710 | 15,993,000 |
| … | … | … | … | … | … | … | … |
| 29 | 98 | 11,330,000 | 113,300 | 90,266 | 667,000 | 757,266 | 10,663,000 |
| 30 | 99 | 10,663,000 | 106,630 | 84,976 | 663,000* | 747,976 | 10,000,000 |
※個人向け国債は当初の1年間は換金できませんが、シミュレーションしてお考えください。
元本を取り崩すので受け取る利子は毎年少しずつ減りますが、元本を含めて毎年75万円~90万円を取り崩せればインフレをしていても十分生活ができるでしょう。
また、インフレが続くのであれば、年金も変動します。ただ、マクロ経済スライドでインフレ負けしますが、年金と個人向け国債だけでもいけるのではないかと。
あと、このままインフレが続けば個人向け国債変動10年の利子も増えますしね。
年金とインフレの参考。
-
年金額は毎年度、「物価変動率」または「賃金変動率」などを勘案して改定されます。
-
ただし、制度的に「マクロ経済スライド」という名義で、賃金・物価上昇分からある程度控除・調整される仕組みがあります。
-
例えば、令和7年度(2025年度)改定では、物価変動率2.7%、賃金変動率2.3%、マクロ経済スライド調整率▲0.4%となり、年金額の改定率は+1.9%となっています。
次の対策としては書かれていた運用もありと思います。
半分を個人向け国債変動10年、半分をニッセイ4資産均等型に投資をして、ニッセイ4資産均等型を自動売却設定して、生活費として使い切っていくと良いかと。
個人向け国債1500万円を保有して利子だけ使い、残りはニッセイ4資産均等型で1500万円運用して自動取り崩しで100歳で使い切るプラン
Geminiのシミュレーションですが、ご参考まで。
| 年数 | 年齢 | 4資産均等型 年初残高 (A) | 期待運用益 (A × 4.0%) | 年間取り崩し元本 (B) | 4資産均等型 年末残高 | 年間合計収入 (12万円 + B) |
| (円) | (円) | (円) | (円) | (円) | ||
| 国債の年間利息(税引後) | 120,000 | |||||
| 1 | 70 | 15,000,000 | 600,000 | 867,000 | 14,733,000 | 987,000 |
| 5 | 74 | 13,857,698 | 554,308 | 867,000 | 13,545,006 | 987,000 |
| 10 | 79 | 12,045,468 | 481,819 | 867,000 | 11,660,287 | 987,000 |
| 15 | 84 | 9,566,350 | 382,654 | 867,000 | 9,082,004 | 987,000 |
| 20 | 89 | 5,907,078 | 236,283 | 867,000 | 5,276,361 | 987,000 |
| 25 | 94 | 2,828,940 | 113,158 | 867,000 | 2,075,098 | 987,000 |
| 29 | 98 | 868,764 | 34,751 | 867,000 | 36,515 | 987,000 |
| 30 | 99 | 36,515 | 1,461 | 37,976* | 0 | 157,976* |
| 31 | 100 | 0 | 0 | 0 | 0 | 120,000 |
*30年目(99歳)は、残りの36,515円を取り崩すとともに、国債利息(120,000円)も受け取ります。そのため、年間合計収入は120,000 + 37,976 = 157,976円となります。
年金にプラスして約100万円(4資産取り崩し+国債利子)のキャッシュフローがあります。万が一、投資で何かあっても個人向け国債が1500万円あるので大きく困ることは少ないかと。
取り崩すのが精神的に苦痛であれば、運用益だけを使うというのも可能。
仮想取り崩しですが、4%だけ自動取り崩しをすればシミュレーションに近い数字も出そうです。(代わりに運用が良いときはキャッシュフローが増えますが、市況が悪いときはキャッシュフローが減ります。)
シミュレーション結果。
| 年数 | 年齢 | 4資産均等型 年初残高 (A) | 期待運用益 (A × 4.0%) | 年間取り崩し額 (B) (税引前) | 年間合計収入 (税引後) | 年末資産残高合計 |
| (円) | (円) | (円) | (円) | (円) | ||
| 国債の年間利息(税引後) | 119,527 | |||||
| 1 | 70 | 15,000,000 | 600,000 | 600,000 | 597,637 | 30,000,000 |
| 5 | 74 | 15,000,000 | 600,000 | 600,000 | 597,637 | 30,000,000 |
| 10 | 79 | 15,000,000 | 600,000 | 600,000 | 597,637 | 30,000,000 |
| 20 | 89 | 15,000,000 | 600,000 | 600,000 | 597,637 | 30,000,000 |
| 30 | 99 | 15,000,000 | 600,000 | 600,000 | 597,637 | 30,000,000 |
| 31 | 100 | 15,000,000 | 600,000 | 600,000 | 597,637 | 30,000,000 |
個人向け国債の利子が税引き後年間12万円があるので、ニッセイ4資産均等型が4%程度成長していると税引き後でキャッシュフローが年60万円ほど増えます。
インフレがあったとしても、生活が困窮することも無さそう。
ただ、値動きする投資信託を保有するより、個人向け国債を年齢に応じて取り崩すほうが精神的に楽な気もしますね。
ここらへんはお母さまの年齢や性格に変わりそうです。
投資するなら一括で良いと思う
さて、投資を一括にするか積立にするか。
個人的には一括が良いと思います。
理由は十分な資産もあること、初期対応が少なくて済むから。
管理人の親は投資をしていませんが、Wi-Fiだ格安SIMだで、わりと駆り出されることがあります。これは労働力だけで済みますが、ことお金が関わってくるとなると変動するものを積立にするより、リスクを受け入れてもらって一括のほうがお互い幸せかな、と。
自動取り崩し設定をすればキャッシュフローとして使って貰えば良いだけですし。
余談|直線本能で考えすぎないこと
あと、人間は直線本能で物事を考えすぎてしまいます。
例えばインフレ。
この先、お母様が100歳まで元気で活動されるとして、30年後まで今のインフレ状態が続くでしょうか。30年もあれば、また大不況やデフレがあるかも知れません。
5年前まで日本はオワコン扱いでしたし。。
電気代、ガス代、食事代、その他諸々。
こういったものだと年間で増えたとしても10~15万円程度かも。
すでに十分な資産があり、年金収入で生活費を賄えているならほどほどのインフレ対策で大丈夫かもですね。
3000万円分の個人向け国債があれば利子(税引き後24万円、金利上昇次第で金額も上昇)だけで十分な対策かも知れませんね。
将来のインフレを見込み、どれくらいのキャッシュフローが必要かをお母さまが元気なうちに話し合ってみると良いかも。
たぶん資産3000万円あって現在年金を受け取っている方が生活できないとなると、普通の庶民はホントに餓〇する人が続出してしまいます。
治安維持も含め、さすがに政府もそんな状況にはしないでしょう。
庶民が最低限生きていくために何かしら対策をするはず。(富裕層に対しては苛烈な仕打ちがあるかも知れませんが。)
なので、インフレだけを不安視して、ずっと物価高騰が続くことに恐れるより、バランス良く資産を使っていけるように一緒に考えてあげるのが大切なのかも。
案外、お母さまのほうがオイルショックなどをリアルに体験していて、インフレに対する考えはしっかりされていたりして。。
そろそろ長くなってきたので終わりにします。
KOさんのお母さまの場合、十分に資産をお持ちで、生活水準も標準以下。
今後、お仕事をしなくなっても生活に困ることはありませんし、遺産を残す必要が無ければ取り崩しながら年金と取り崩しのキャッシュフローで豊かな老後が過ごせるのではないでしょうか。(ご本人があまり望んでいないかもですが。)
というワケで、今日は親世代のインフレ対策について投資をすすめるべき?というお話でした。
ご質問ありがとうございました。
私も老後にはコンパクトな生活をしながら資産を取り崩して穏やかに生活できるよう、引き続き頑張ろうと思いました。
それには仕事を頑張り、投資をコツコツ続けること。
今、働いている読者様も一緒に頑張っていきましょう。
お読み頂きありがとうございました。
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