ネットを彷徨っていたら資産取り崩しで参考になる画像があったので記事にて紹介します。
取り崩し方は人それぞれですが、注意するポイントを押さえておくと良いと思っています。
記事は日経新聞マネーの本棚より。
外部リンク「年金プラス『毎月10万円』引き出す」はなぜ危険か 60代からの資産「使い切り」法
興味ある人は最後にもリンク貼っておくのでお読みください。
当記事では重要なポイントを中心に紹介していきます。
では一緒に見ていきましょう。
資産3000万円で毎月10万円取り崩しは危険?【全ては初期の相場次第】
まずはリンク先の記事での前提条件から。
- 65歳時点で現金3000万円を保有
- 年金以外に月10万円を取り崩していきたい
- 25年分の資金になるので90歳まで枯渇しない
- しかし人生100年時代だと10年分が足りない
- 現金だけだと月7万円しか使えず満足度が下がる
- では運用した場合はどうなるだろうか?
という感じです。
これがタイトルに繋がるのですが、資産3000万円あれば年4%の運用をすれば年間120万円。NISAを使えば運用益が非課税だし、今からコツコツ非課税枠を満額使っていけばリスク資産3000万円はわりと現実的な数字。
しかし、定額で月10万円取り崩すのは相場次第で思った以上に元本が毀損するリスクがある、というのを、ちょっと冗長ですが分かりやすく紹介されていました。
当サイトの読者様は投資の基本とか知っているので、結果の画像から見ていきましょう。
2つのパターンに分かれており、前半が相場良かったAさん、前半相場が悪かったBさんの試算結果となっています。
Aさん、Bさんとも毎月10万円を取り崩していますが、15年後の資産額にけっこうな差が付いています。
前半調子が良かったAさんは2639万円、前半不調だったBさんは1575万円。老後15年で1000万円の差はけっこう大きいですよね。(取り崩し額は二人とも1800万円で、資産額をプラスするとAさん4439万円、Bさん3375万円となっています。)
ちなみに掛け算は順番を変えても最終結果は同じで、両者とも各年ごとにリターンは違いますが、15年で算術平均3%、幾何平均値は2.6%のリターンとなっています。
個人的には面白い書き方だなと思ったのは、何回かマイナスリターンの年があると、算術平均リターン3%得るのも大変ということ。15年中10年はプラスリターンで、大きいマイナスといっても▲10%なんですけど。。
リスクはリターンを蝕む、ですね。(正確にはボラティリティがリターンを蝕んでいます。)
当サイト初期の記事ですが株式リターンが平均回帰すると思う人には参考になるかも。
関連記事【リスクはリターンを蝕む】株式投資で複利リターン6%は期待し過ぎの可能性大!
ちょっと脱線してしまいましたが、最終的に同じリターンなのに両者に差が付いたのはシークエンス・オブ・リターン・リスク(Sequence of returns risk)と呼ばれているものです。
「収益率配列のリスク」として紹介されていましたが良い表現ですよね。
要は老後初期に市場低迷すると資産減少スピードが速まってしまうリスクです。
個人的には「収益率配列のリスク」を避けるために個人向け国債1000万円を準備しており、低迷期は無リスク資産を取り崩して使えば良いと思ってますがどうでしょうか。
とくにマイナスが連続して続くと後々回復するであろう投資元本を食い潰すペースも早くなる(資産減ってるときに定額取り崩しは率でのダメージが大きくなる)ので、マイナスの年はなるべくリスク資産を取り崩さないのは効果があると思います。
別に1000万円とか用意しなくても、当初3年のマイナスを避けるとかで十分かも知れません。そうなると老後に不要になる生活防衛費を使っても良いかもですね。
あと、記事では3000万円全てをリスク資産にしていましたが、リスクを下げるためにリスク資産1500万円、無リスク資産1500万円みたいなカウチポテトポートフォリオでも良かったかも。
好調なときと低迷期をリバランスすることによって、下がり過ぎのときは安くなった株式を現金で買い、上がり過ぎているときは好調な株を利確できるメリットもあります。
この方法はカン・チュンド先生が一冊の本を書いているので読んでみると良いかも。
関連記事【良書】つみたて投資の終わり方~100年生きても大丈夫!
ちなみにKindle Unlimitedだと無料で読めます。30日無料キャンペーン使える人は是非どうぞ。
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ちょっとカウチポテトポートフォリオで試してみました。
結果として全てリスク資産で運用して取り崩していたBさんより期末残高が少なくなってしまいました。
リスクを半分にした代わりにリターン部分も減っている状況で月10万円を取り崩すのは金額が大きいのかも知れません。
年数 | 収益率 | リスク資産 | 現金 | 引き出し額 | 期末残高 |
1年目 | -10% | 1350 | 1500 | 120 | 2730 |
2年目 | -2% | 1337 | 1365 | 120 | 2582 |
3年目 | -10% | 1161 | 1291 | 120 | 2332 |
4年目 | 10% | 1282 | 1166 | 120 | 2328 |
5年目 | -5% | 1105 | 1164 | 120 | 2149 |
6年目 | 5% | 1127 | 1074 | 120 | 2081 |
7年目 | -10% | 936 | 1040 | 120 | 1856 |
8年目 | 14% | 1057 | 928 | 120 | 1865 |
9年目 | 10% | 1025 | 932 | 120 | 1837 |
10年目 | -5% | 872 | 918 | 120 | 1670 |
11年目 | 2% | 851 | 835 | 120 | 1566 |
12年目 | 14% | 892 | 783 | 120 | 1555 |
13年目 | 7% | 831 | 777 | 120 | 1488 |
14年目 | 15% | 856 | 744 | 120 | 1480 |
15年目 | 10% | 814 | 740 | 120 | 1434 |
※手計算なので小さい数字は切り捨てしています。
1年終了後に120万円引き出し、そのあとリバランスをしています。
あまり芳しくなかったのでリスク資産2000万円、現金1000万円にして、▲10%の年は現金から取り崩ししたパターンを見てみました。
リスク資産はその年のリターン結果後に年間120万円を引き出した数字にしています。(マイナス10%の年は現金だけ減らす。)
年数 | 収益率 | 引き出し額 | リスク資産 | 現金 | 期末残高 |
1年目 | -10% | 120 | 1800 | 1000 | 2680 |
2年目 | -2% | 120 | 1644 | 880 | 2404 |
3年目 | -10% | 120 | 1656 | 760 | 2296 |
4年目 | 10% | 120 | 1701 | 760 | 2341 |
5年目 | -5% | 120 | 1495 | 760 | 2135 |
6年目 | 5% | 120 | 1449 | 760 | 2089 |
7年目 | -10% | 120 | 1304 | 640 | 1824 |
8年目 | 14% | 120 | 1366 | 640 | 1886 |
9年目 | 10% | 120 | 1382 | 640 | 1902 |
10年目 | -5% | 120 | 1192 | 640 | 1712 |
11年目 | 2% | 120 | 1095 | 640 | 1615 |
12年目 | 14% | 120 | 1068 | 640 | 1588 |
13年目 | 7% | 120 | 1022 | 640 | 1542 |
14年目 | 15% | 120 | 1055 | 640 | 1575 |
15年目 | 10% | 120 | 1040 | 640 | 1560 |
※手計算なので小さい数字は切り捨てしています。
カウチポテトより完全しましたが、現金バリアを使った効果というよりリスク量を1500万円から2000万円に上げた効果のほうがありそうです。
ここらへんの金額で小細工をするよりも、資産の4%を取り崩し、儲かっているときは贅沢に、損しているときは清貧に、といった割り切りをしたほうが毎年やきもきせず生きれるのかも。
もしくは資産額の取り崩し割合を減らすか。
3000万円の3%で年間90万円。
月7.5万円で暮らせば大丈夫。
ただ、この場合、リスクを取った運用をしなくても30年間現金で取り崩しができます。
それにしてもシークエンス・オブ・リターン・リスク(Sequence of returns risk)は厄介ですね。
いろんな方法をやっても良い対策が出てきません。
ただ、過去にシミュレーションした記事を見ていると、老後にリスク資産2400万円、現金1000万円あれば、月10万円取り崩しでITバブル崩壊~リーマンショックに被弾してもそこそこ生きていけそうな感じでもありました。
関連記事老後資産はNISA満額+個人向け国債1000万円で大丈夫だろうか?リーマンショックが来た設定でシミュレーションしてみた
ここまで悪い条件はなかなか無いので、何とかなるんじゃないかな、とも。
記事見たついでにエクセルデータがあったので、リスク資産2000万円、現金1000万円での結果も出しておきました。
同じ定額取り崩しでもリスク資産400万円増やすだけで2605万円と1530万円の差になっているので、3000万円で月10万円を取り崩すのは前半に相場悪くなりませんように、と神に祈ることが大切なのかも知れません。
参考までに定率取り崩しの推移も載せておきます。
リーマンショックの底あたりでは月4万円ちょいしか使えません。月10万円使えるのは取り崩し当初5年にも満たない期間。
儲かっているときは贅沢に、損しているときは清貧に、という生き方もけっこう厳しいものがありそうです。
個人的な結論としては老後3000万円で月10万円はそこそこリスクがある。すべては相場次第。
なので、月10万円を使いたいなら安全圏である4000万円程度を目指すのが良いかも、と思いました。
というワケで今日は資産3000万円で毎月10万円取り崩しは危険?【全ては初期の相場次第】というお話でした。
神様に祈っても氷河期世代が老後になったタイミングで相場低迷とかは管理人の人生経験上バチクソ高そうなので、それでも生きていけるよう引き続きお仕事と積立をしていこうと思います。
最悪、老後初期は軽く働いて収入を得るだけでも大きく変わるかもですし。
とはいえ、初期資産が多少増えるだけで確実に老後が楽になるのも分かってきたので、ともにコツコツ頑張っていきましょうね。
お読み頂きありがとうございました。
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日経新聞の記事です。
「年金プラス『毎月10万円』引き出す」はなぜ危険か 60代からの資産「使い切り」法
「収益率配列のリスク」を知った上で読むと面白いと思います。
関連記事です。
【リスクはリターンを蝕む】株式投資で複利リターン6%は期待し過ぎの可能性大!
老後資産はNISA満額+個人向け国債1000万円で大丈夫だろうか?リーマンショックが来た設定でシミュレーションしてみた
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