高配当ETFで人気のSPYDですが、コロナショックではS&P500といった指数だけでなく、同じ米国高配当ETFのVYMよりも大きな下落が目立ちました。
SPYD持っていて大丈夫なの?
無難にVOOやVTIの方が良いでは?
そういった声もありそうですね。
とはいえ、管理人はSPYDが他のETFに負けている状態であれば少しずつ買おうかな、と思っています。たぶん2020年5月も買うでしょう。
記事内容はコロナショックで思わぬ弱さを見せたSPYDの下落要因をまとめたものです。
合わせて、管理人が悲観的にならずに買うという考えも紹介しています。
今回の下落ではSPYDのセクター比率やイコールウェイト(均等加重)という特殊性が大きく影響しました。
しかし現在の結果が未来を反映するものではありません。SPYDを保有している方の参考になれば幸いです。
そもそもSPYDとは?
SPYDはステートストリートが運用する高配当株ETFです。
ステートストリートは世界で初めてのETF、SPY(S&P500)が有名ですね。
構成はS&P500から選ばれた高配当銘柄の上位80社で、イコールウェイト(均等加重)という面白みがあります。
関連記事SPYDは経費率0.07%で高配当銘柄を均等投資する海外ETF|利回り5%以上
連動指数がズレてしまうくらい今回の暴落は凄かったということですね。年2回リバランスがあるので、そのうち80銘柄に戻るでしょう。
ちょっと余談|配当貴族指数
同じような高配当系指数にS&P500配当貴族指数がありますが、将来的に連続配当が途切れた場合には条件を緩めるなどの二手目が準備されています。
配当貴族指数は「連続増配25年以上」「時価総額30億ドル以上」の企業をイコールウェイトという高いハードルが儲けられているからかも。
ベンチマーク(連動指数)がしっかりしているインデックス投資は安心できますね。
関連記事楽天VTIの積立をやめて、米国株配当貴族インデックスにしたい。大丈夫かな?
SPYDはS&P500企業のうち、高配当の80社から構成されます。
さて、結果として選ばれた80社がどれくらい負けたのか見ていきましょう。
SPYDの暴落具合と現状を他の指数と比べてみる
直近半年の比較になります。
銘柄 | 結果% |
S&P500 | -4.7 |
VYM(米国高配当) | -12.7 |
IYR(米国不動産) | -20.2 |
IJR(米国小型株) | -23.0 |
SPYD | -31.1 |
画像でもテキストでも明らかにSPYD一人負けですね。
調べてみたら思いのほか酷かった。。
とはいえ、不動産や小型株の値下がりした感じから暴落の背景が読めてくるものもあります。
SPYDが暴落に弱かった部分を管理人なりの所感として書いていきますね。
SPYDが暴落に弱かった理由は3つ
前提|今回の暴落はS&P500の中でも勝ち組負け組がハッキリ分かれた
SPYDの下落が大きいという前に、今回の暴落はS&P500という世界の勝ち組企業の中でも明暗がはっきり分かれています。
S&P500種は2月に付けた過去最高値を約17%下回っているが、中央値の銘柄ではピークを28%下回っていると、デービッド・コスティン氏らゴールドマンのストラテジストが24日のリポートで指摘。
一方、上位5銘柄が同指数の時価総額に占める割合は20%と、2000年3月時点の18%を上回り、市場の幅が狭まっているとの懸念が投資家の間で高まっている。
現在のS&P500は、いわゆるGAFAM(Google、Amazon、Facebook、Apple、Microsoft)という巨大テック企業5社の株価に左右される状況になっています。
出典:Big 4 Vs. S&P 496(seeking alpha)
少し前に話題になった画像ですが、S&P500のリターンはほとんど上位テック企業が稼ぎ出しています。
2000年に入ったころITバブル崩壊がありました。
ハイテク=暴落に弱いというイメージが管理人にもありましたが、今回の暴落では逆の様相を見せてくれましたね。
ハイテク=もはやインフラといった感じの安定性です。
そして成長株が多いハイテクはSPYDには組入れが少ないのもSPYDの悲劇でした。(Microsoftは増配・配当ともにしっかり出していますが、昨今の株価急騰で高配当ではなくなりました。)
代表的指数に打ち勝つ難しさを踏まえて、SPYDの暴落要因を見ていきましょう。
そもそも高配当=不人気株
高配当投資はそもそもS&P500など王道インデックスに比べリターンは劣後します。
高配当はそもそも不人気ゆえに株価が低く、そういった理由から比較的高い配当利回りになっていることが多いですね。
暴落の際、こういった不人気株はどうしても売られます。というか鬼のように叩き売られます。
次にセクターの問題がありました。
セクターの問題
画像は2020年4月24日時点でのSPYDのセクター比率。赤枠で囲んいているのが今回暴落の被害が大きかったセクターですね。
エネルギーセクターは原油価格が叩き売られた企業が多かった。。
これは画像の方が分かりやすいかも。
銘柄 | 結果 |
S&P500 | -4.7 |
SPYD | -31.1 |
VDE(米国エネルギー) | -40.7 |
エネルギーセクターがなんじゃこりゃー状態ですね。。
セクター比率も大きく変わっています。
暴落前と暴落後のセクター比率
2019年9月 | 2020年4月 | ||
業種 | 保有比率(%) | 業種 | 保有比率(%) |
不動産 | 24.5 | 不動産 | 17.2 |
公益 | 21.7 | 金融 | 12.5 |
一般消費財 | 10.9 | 一般消費財 | 11.7 |
生活必需品 | 9.0 | 生活必需品 | 11.6 |
エネルギー | 8.2 | 公益 | 10.7 |
情報技術 | 5.8 | エネルギー | 11.0 |
コミュニケーション | 5.3 | ヘルスケア | 8.0 |
ヘルスケア | 4.1 | 素材 | 6.7 |
資本財 | 2.3 | コミュニケーション | 5.8 |
素材 | 2.2 | 情報技術 | 4.8 |
不思議なんですがエネルギー比率は増えてますね。あと資本財が無くなっていて金融が上位に入っています。
詳しい人いたら教えてください。。
ただ不動産、金融というのは金融危機や暴落局面では大きく売り込まれますので、エネルギーセクターも合わせてSPYDには不幸が重なりました。
小型株が弱かった
SPYDはイコールウェイト(均等配分)という性質上、S&P500などの時価総額タイプに比べると中小型株が多く含まれることになります。
S&P500の中でも勝敗が分かれたことを紹介しましたが、今回の暴落では小型株が弱かったのも要因でしょう。
もちろん財務健全な大型株も売られましたが、小型株は投げ捨てるように売られました。
というか、このクラスの暴落になると債券も金も売られていたので仕方ありません。
もう一度SPYDと他指数の状況を見てみましょうか。
銘柄 | 結果 |
S&P500 | -4.7 |
VYM(米国高配当) | -12.7 |
IYR(米国不動産) | -20.2 |
IJR(米国小型株) | -23.0 |
SPYD | -31.1 |
エネルギーセクターほどでは無いにしてもS&P500や高配当のVYMより落ち込みも大きいです。
今回の暴落は債券バブルも巻き込んだ状態で、誰もが現金化を急いだことが大きかったですね。
管理人が保有しているガチガチの総合債券であるBNDも下がりました。有事の金でさえ売られました。
こういった状態では、
- 高配当=不人気株
- 不人気セクター
- イコールウェイトで小型株比率高め
をセット売りしているSPYDは一人負けしても仕方ないかなぁ、と。
とはいえ、もう暴落は起こってしまったこと。これからどうするかを考えないといけませんね。
管理人としては、VYMよりも安そうな状態であればコツコツ買っていこうかと思っています。
暴落を耐えきったSPYDで暴騰に乗りたい
株式市場では企業に価値付けがされています。
そして上がり過ぎたものはいつか下がりますし、逆に安くなり過ぎたものは市場価値に戻ります。
個人的にはいくら何でも売られ過ぎたものがあるのでは?と思いたいところ。
小型株などは暴落に弱い反面、いつかくる暴騰局面では強いです。
直近5年で小型株ETFのIJRのチャートを見てみましょう。
銘柄 | 結果 |
S&P500 | +38.71 |
IJR(米国小型株) | +3.57 |
SPYD | -10.82 |
2017年からの暴騰期間は凄まじいリターンを出していますね。
ただし2018年10月から12月の急落では40%近い下落も。。
ちなみ管理人はIJRを12年以上持ってますけど、こんなに調べたことないのでほえーとなってます。
リーマンショックも放置で助かり、その後の暴騰で大きくリターンが伸びました。
その恩恵もあってコロナショックではマイナスになる心配も無かったので同じ放置しています。
勝手な想像ですが、SPYDも20年保有するくらいの気持ちでいれば助かるんじゃないなかな、と。
また勝手な考えで恐縮なのですが、わりとしっかり設計されたETFなのでは?とも思っています。
SPDYはステートストリートの切り札であり至宝
米国高配当ETFは以下の3つが有名です。
- VYM:バンガード
- HDV:ブラックロック
- SPYD:ステートストリート
SPYDは一番後発で、上記2社を相当意識して作られているはずです。経費率にしても真っ向勝負でぶつけています。
ステートストリートにすれば虎の子であるSPYDだと思うので20年後を楽しみにしたいな、と。
おわりに|暴落のたびにSPYDを買っていこうと思う
SPYDは比較的株価も低く、手軽に高配当に投資したいというニーズで人気がありました。
反面、コロナショックでは大きなダメージを受けた投資家も多いでしょう。もしかすると手放した方もいるかも知れません。
- 儲かるかどうか分からない
- いつ半額になってもおかしくない
- 不動産は危険、何々は危険etc…
しかし管理人はこういったものこそ株式リターンの源泉だと思っており、VYMを主力としつつも暴落の際には積極的にSPYDなどを買っていきます。
まだ戻りも不完全なので来月も買って記事にします。笑
お読み頂きありがとうございました。
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関連記事です。
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