インデックス投資家が知っておくと確実に良い情報というものがあります。
複利で倍になる72の法則であったり、売り買いが多い程、リターンが下がる。このようなものです。
その中で、バンガード創始者ジョン・C・ボーグル著「インデックス投資家は勝者のゲーム」でも書かれていたゴットロックス家の寓話は株式投資の本質が詰まった話だと思います。
本当は原本を読むのが一番心に響くと思うのですが、容赦なく投資家の心をへし折る文章が書かれていたり、ちょっと身構えるような分厚さもあります。
興味はあるけど、中身をちょっと知りたい。そういった方に興味を持って貰えれば幸いです。
ゴットロックス家の寓話
むかしむかし……
ゴットロックスという名な裕福な一族がいた。彼らは何世代にもわたって繁栄し、兄弟、叔父、叔母、いとこたちまで含めると何千人にもなった。一族はアメリカの全株式を一〇〇%保有していたのである。毎年、彼らは投資から報酬を得ていた。つまり、何千もの企業が生み出した利益成長であり、彼らがもたらす配当のすべて、である(少しばかり複雑になってしまうが、ゴットロックス家は各年に行われる株式公開もすべて引き受けていた)。
ーインデックス投資家は勝者のゲーム第1章 寓話より引用ー
この安定していた状態に「助言者」と名乗る人たちがやってきます。
賢いゴットロックス家のいとこたちに、他の親戚より稼げる方法があるというのです。自分たちが保有している企業の株式を他の親族に売り、代わりに他の企業の株式を買うという方法です。
「助言者」はその見返りに手数料を受け取ります。おやおや、何かに似てますね笑
これにより起こる事は、親族間での株式所有権が移動しただけです。するとどうなるか。
一族全体での利益が前年より減っています。理由は簡単。所有権の移動で「助言者」に手数料を払ったからですね。
昔はもう少し柔らかな文章だったような気がしますが、この時点で本書では助言者でなくブローカーという言葉に変わっています。もう少し堪えろよボーグルと思ってしまいます。
元々は何もしなければアメリカ全株式が「焼き上げるパイ」を全て得られていたのに、パイの一部が「助言者」へ持っていかれているという事ですね。
現実世界では、ここに手数料だけでなく、利益への課税もかかります。
さらに賢いゴットロックス家のいとこたちは、適切な株式売買を出来るプロへ助言を求め、さらなる「助言者」を雇う事になります。
その結果は、前回と同じです。翌年に一族全体の富を見てみると更に現象をしています。当たり前ですね。「助言者」への手数料と課税により富は減ります。
さらには暴走をしてしまい、いとこたちは最良の投資コンサルタントとファイナンシャルプランナーに正しい資産運用を選択する術を教えて貰う事に。といった無限ループを続けます。
ボーグル、もう助言者って使ってないやんとなりますが、ちょっと業界の人間嫌い過ぎてないかとも思ってしまいます。
困り果てた一族は、もっとも賢い長老格の叔父へ相談をします。
叔父「今すぐ全てを元に戻すのじゃ。さすれば再び全てのパイは我が一族のものになる。」
こうしてゴットロックス家は末永く、幸せにくらいましたとさ、ちゃんちゃん。というお話しです。
まとめ|この寓話がもたらす意味
引用元:SBI証券ホームページ
一番簡単な事は何もせず全アメリカの株式を保有し続ける事となります。
NY市場で直接買うならVTI(バンガード®・トータル・ストック・マーケット)ですし、日本国内で円建てで買うなら、楽天・全米株式インデックスファンドを買って何もせず寝て過ごす、という事になります。
ボーグルは著書の中でアメリカだけでなく世界の企業の株式とも書いています。円建てで買うなら楽天・全世界株式インデックス・ファンドという事になります。
この寓話を通してボーグルが伝えたいことは、売買が増えるほど金融業界の仲介者に支払うコストや、税金が増え、企業の所有者たる株主が手にするはずだったリターンが減ってしまうという事です。
我々個人投資家が出来る最適な事は、全世界の株式を永久保有して、企業の成長や利益を受け取るくらいですね。
私としては、必要な時が来たら、現金が必要な分を手放してそれで生活をする。そんな風な老後を目指したいですね。
あ、ちなみにゴットロックス家の寓話は、ウォーレン・バフェットの2005年にバークシャー・ハザウェイの年次報告書で語ったストーリーが元ネタです。
個人的に、何かをすれば食べられるパイが減っている、という話が本書の中で一番好きです。
取っ付きにくい本かも知れませんが、上記のように分かりやすい話もあり長期投資家としては一度目にしておいて損はしない本と思います。
みんな大好きバンガードの創始者ですしね。
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