「今更か」と思われてはいますが、ここに来て氷河期世代向けの就職支援・生活支援に関する議論が盛り上がりつつあります。
今まで日が当たらなかった中高年の引きこもりが多数存在し、彼らの将来が危惧されているからです。
管理人がTwitter等を見ていると、対応が遅すぎる等の話題ばかりですので、違った視点から見ていきたいと思います。
ただ、世界の景気動向は悪くなりつつあるので、関心があるなら早く動いたほうが良いとも思いますので記事にしました。
就職氷河期世代を対象に3年間の集中プログラムを提供へ
にわかに関心を集めている「中高年の引きこもり」問題
最近になって、「中高年引きこもり」問題に関心がもたれるようになっています。
これは内閣府が2019年3月に「40歳~64歳の引きこもりが全国に61万人いる」との実態調査を発表したのがきっかけです。
彼らのすべてが新卒の就職に失敗した人とは限りませんが、それでもこの中には就職に失敗したまま非正規雇用を続け、いつしか精神を病んでしまった就職氷河期世代もかなりの割り合いで含まれているかと思います。
今、中高年の引きこもりの問題が注目される背景には、彼らの生活の財源が彼らの高齢の親の年金などに依存しており、生活保護の予備軍になっているという懸念があります。
日本の財政は潤沢ではありません(というか借金まみれ)ので、生活保護費が増え続けると、その分だけ国の予算を圧迫してしまうからです。
民間議員が提言した「就職氷河期世代」の集中支援。
バブル崩壊後の景気悪化で新卒時に希望の職に就けないままフリーターや無職となった若者たちは既に30代半ばから40代半ばに達し、自宅にひきこもるケースも少なくない。
政府は3年間の集中プログラムを通じて就職氷河期世代を正規就労に結びつけ、高齢期の生活保護入りを阻止したい考えだ。
3年間の集中プログラムとは
厚生労働省が作成した「人的資本投資について - 人材開発・労働移動・就職氷河期世代対策 -」によると、氷河期世代が今後社会の担い手として活躍するために、以下の3つのサポートを行なうとの案が出ています。
就職支援の充実・職業的自立の促進
無業者や非正規雇用などの不安定な就労者に対して、能力開発のメニューを提供します。加えて、本プログラムの対象者を雇用する事業者向けの支援も提供し、雇用の拡大をはかります。こちらはハローワークに行けば受けられそうですね。
生活支援等の充実・強化
生活困窮者や引きこもりへの支援を強化し、サポートを通じて生活支援を行ないます。これは自治体の福祉課などが母体になりそうです。
社会保険の適用拡大
次の年金制度改正時に短時間労働者への適用拡大を目指すと記載されています。年金制度なのでおそらく、短時間労働者でも老後の給付の手厚い厚生年金への加入を容易にするものだと予想されます。
これから就職をやり直すチャンスがくる
この支援プログラムにはいろいろ賛否もありますが、少なくとも国が氷河期世代に支援を提供し、就職させようとしているのは事実です。さすがにこの支援プログラムを通じて、超有名なホワイト企業への就職はかなわない夢かもしれませんが、
- 能力がないから就職できない
- 自分の適性がわからないからどの企業が向いてるのかわからない
といった問題はクリアできると筆者は考えています。あとはどう利用するかはあなた次第です。
再び来るかもしれない就職の「小氷期」
支援プログラムは「棄民」とも言われる就職氷河期世代にとって明るいニュースではあると思います。しかし、どこまで有効活用されるかは不透明です。
というのも、現在の世界の景気は、どちらかと言えば悪くなる方向に進んでおり、景気低迷下で支援プログラムを活用する雇用主が少なくなる可能性を含んでいるからです。
IMFは4月9日に発表した「世界経済見通し」で、2019年の世界経済の成長率(実質GDP成長率)を3.3%とし、1月の見通し(2019年1月22日記事参照)から下方修正した(表参照)。
米国と中国の間の貿易紛争と関税引き上げ 、世界規模で広がる景況感の低下、主要国での金融市場の引き締め、さらには、多くの国における政策の不確実性の高まりなどを受けて、2018年上半期に3.8%と堅調に推移した世界経済成長は、2018年下半期には3.2%まで低下。
経済成長の弱さは2019年まで続くとみられており、2019年(3.3%)は、2010年(5.4%)以降、最も低い水準となる見込みだ。
アメリカでは、景気が悪くなる際に生じやすい、債券金利の「逆イールドカーブ」が生じており、今後の動向が注視されています。
日本ではおそらく恒常的な人手不足のために、平成時代のような「大氷期」は来ないでしょうが、今後数年は就職の「小氷期」になる可能性があります。
経済が弱くなると、どうしても体力のない中小企業を中心に、新たな人手を雇おうとする意欲が失われてしまいます。
せっかく支援プログラムではあるものの、今後の経済情勢を考慮した際にどこまで有効に活用されるかは不透明感が残ります。
支援プログラムをやり直しのきっかけにしてほしい
繰り返しになりますが、このプログラムをどう利用するかはあなた次第です。
スキルを獲得して正社員就職をするのも良いし、「ブラック企業への就職斡旋だろ」と言って、使わないのもあなたに託されています。
残念ながら、国の動きは緩慢で、機動的でないことを私たちは十分に知っていると思います。
ですから、本当に生活に困っている、正社員として働きたいと考えるなら、自発的に動いて、こういう機会をうまく使って欲しいのです。
私の場合ですが「またダメかもしれない」という考えは捨てた方が好転したケースは多いです。
よく、自分の存在価値とか、自分は必要とされていないとか、自己の承認について悩んでる方は多いと思います。
しかし、アドラー心理学ではこの承認欲求を否定し、あなたが誰か(自分でもいい)を幸せにできたら良いと説いています。
あなたがあなたや周囲の誰かに貢献するためには、このプログラムをどう使えば良いか、というきっかけになればいいなと願っています。
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